2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K13859
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石黒 泰 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (10743891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リアルタイムPCR / VBNC細菌 / Propidium monoazide |
Outline of Annual Research Achievements |
浄化槽からの水路、河川などに放流される放流水に含まれるVBNC(生きているけれども培養できない)状態の細菌の検出法を確立し、現場浄化槽での調査により、浄化槽の細菌漏出リスクを正確に評価することを目的としている。 平成30年度は現場での調査に先立ち、モデル微生物である大腸菌を正確に定量するために、リアルタイムPCRにおいて大腸菌を特異的に定量できる複数のインターカレーター法のプライマーおよびTaq Man法のプライマーとプローブの組合わせから、大腸菌の検出に最適なTaq Man法のプライマーペアおよびプローブを選定し、最適なPCR条件を決定した。さらに、その方法と従来から使用してきた16SrRNAをターゲットとしたインターカレーター法のリアルタイムPCR法と合わせて用いることで、浄化槽内での細菌量の変化、特に全細菌量に対する大腸菌の割合の変化をリアルタイムPCRを用いてDNAを測定することにより明らかにした。 さらに、VBNC細菌を定量するために必要となる、生きている細菌と死んでいる細菌をリアルタイムPCR法で別々に定量するためのPropidium monoazide(PMA)の処理として、フィルターを用いた集菌法(フィルター3種類を比較)および遠心分離を用いた集菌法から最も適している集菌法をを明らかにするとともに、最も適したPMAxxの処理濃度を明らかにした。また、5種類のDNA抽出キットから、浄化槽処理水中の細菌のDNAを最も高い抽出効率で抽出することができるDNA抽出キットを選定した。これらの選定した方法と従来の培養法を組み合わせることにより、浄化槽の処理水に存在するVBNC細菌の定量が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行する上で必要不可欠なVBNC細菌を検出するための処理方法及び最適な条件(PMAを用いた処理方法や処理濃度、DNAの抽出方法、PCR条件など)を決定することができた。また、冷凍保存の浄化槽のサンプルを用いてリアルタイムPCRを用いた浄化槽中の大腸菌の変化の測定を行うことができた。 ただし、従来から行ってきたDNA抽出法でのDNA抽出に課題が見つかり、複数のDNA抽出キットから最適なキットの選定を行ったため、現場浄化槽からサンプルを採取し、VBNC細菌での検出の確認はできなかったが、すでに現場浄化槽でのサンプリングを予定しており、その部分は令和元年度の早い段階で実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
決定したVBNC細菌の定量方法を用いて現場の浄化槽におけるVBNC細菌の定量を行い実現場の浄化槽内や放流水にVBNC細菌がどれくらい存在しているかを明らかにするとともに、それらと浄化槽の処理水質や処理水に含まれる微生物群衆構造との関係を明らかにし、VBNC細菌の発生しやすい条件などを明らかにする。また、VBNC細菌に対する塩素消毒の効果も検証し、VBNC細菌の自然環境への漏出リスクを明らかにする。
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Research Products
(2 results)