2018 Fiscal Year Research-status Report
硫黄サイクル、鉄サイクルおよびANAMMOXを活用した酪農排水の新規処理法の開発
Project/Area Number |
18K13861
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
小杉 優佳 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (70804821)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酪農排水 / 窒素除去 / ANAMMOX |
Outline of Annual Research Achievements |
酪農排水は有機物と窒素濃度が高い排水である.多くは活性汚泥法を用いて処理されているが,エネルギー消費量が多く,窒素が残存するため周辺環境への影響が大きい.本研究では,硫酸塩濃度が高い酪農排水を対象として,硫黄サイクル,ANAMMOX,鉄サイクルを活用した,新規の省エネルギーな生物膜処理法の開発を目的としている.提案するプロセスは,嫌気-無酸素-好気槽を組み合わせた硫酸塩還元/脱窒・ANAMMOX/部分硝化プロセス (SRDAPNプロセス)である.本処理法の有効性を検討するために,模擬酪農排水を用いた連続処理実験と微生物叢の解析を行う. 酪農排水を模擬した人工排水を用いて,嫌気無酸素生物ろ床装置の連続運転を行った結果,嫌気槽ではメタン生成と硫酸塩還元反応の両者が進行していたと推定された.無酸素槽では,従属栄養脱窒と硫黄脱窒反応に加え,アンモニア濃度が減少したことから,ANAMMOX反応が同時に進行していたと考えられる.16S rRNA遺伝子を標的として次世代シークエンサーを用いた微生物解析結果より,嫌気槽では硫酸塩還元菌とメタン生成古細菌,無酸素槽では脱窒菌とANAMMOX菌が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工の酪農排水を用いた嫌気無酸素生物ろ床装置の連続運転はおおむね順調であり,嫌気槽と無酸素槽内の水質結果と菌叢解析より良好な結果を得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
嫌気無酸素生物ろ床装置の連続試験を段階的に行い,硫酸塩還元細菌,鉄還元細菌,硫黄脱窒細菌,ANAMMOX菌をそれぞれ槽内に保持するための条件を明らかにする.各槽内の微生物を用いて活性試験,次世代シークエンサーを用いた16S rRNA遺伝子の菌叢解析により,微生物の共存関係を明らかにする.さらに,嫌気無酸素生物ろ床装置の後段に好気槽を接続して循環することにより,本プロセス全体を評価する予定である.
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Causes of Carryover |
購入価格に差額が生じたためであり,次年度の実験用消耗品等に振り替える予定.
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Research Products
(2 results)