2019 Fiscal Year Research-status Report
自由曲面シェル構造の形状決定支援ツールの開発とその応用
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18K13865
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
木村 俊明 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 講師 (60816057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シェル構造 / 施工計画 / 形状最適化 / 組合せ最適化 / 構造設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
連続体シェル構造物を対象として,実際の施工過程における構造材料の物性と施工可能な曲面形状を明らかにし,これまで提案してきたシェル構造の最適化手法を拡張した新たな形状決定手法を開発する。また,これを基として,設計者が建築デザイン,構造設計および施工計画まで考慮して曲面形状を決定できる設計支援システムを構築し,施工困難とされる変断面自由曲面シェル構造や繊維補強コンクリートシェル構造等の新しいシェル構造への適用が可能なシステムへの拡張を試みる。本年度の実績を以下に示す。 ・既存する鉄筋コンクリートシェル構造の実施設計例の設計・施工計画内容をまとめた。 ・配筋施工性を考慮したRC空間構造物の形状最適化手法の提案を目的として,スプライン関数の制御点座標を設計変数とし,主筋の曲げ変形によるひずみエネルギーを最小化する最適化問題を定式化した。数値解析例では円弧アーチおよび長期荷重時のひずみエネルギーが最小化されたアーチとの比較を通して手法の有効性と得られる解の特徴について考察した。研究成果は情報シンポ2019で発表した。今後,時刻歴応答解析による検証を行い,解の精度を確認する。また,鉄筋量も考慮した最適化を行う。更に研究した内容を次年度公表する。 ・支保工の撤去順序を設計変数とし,仮設段階の構造体の応答または支保工反力を目的関数とする組合せ最適化問題を定式化し,動的計画法を用いて解を求める手法を構築した。また,完成後形状を対象とした従来の形状最適化と組み合わせた同時最適化手法を提案した。研究成果を2019年日本建築学会大会で発表した。また,支保工の撤去順序を設計順序を設計変数とする支保工早期解体順序の最適化法を定式化した。研究内容をさらに深化し,次年度公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
施工中の構造材料の挙動を考慮したシェル形状決定手法を開発し,既存手法と組み合わせた最適化法を構築する点で目標を到達した。一方で,設計支援ツールを更新し,施工計画の検討ができるシステムを組み込むことはできていない。また,型枠の位置およびシェル厚の施工誤差をロバスト制約条件にもつシェル曲面形状と厚さのロバスト同時最適化手法の構築に着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄筋の可撓性を考慮した形状最適化法,支保工の撤去順序を設計順序を設計変数とする支保工早期解体順序の最適化法について研究成果を公表すること,施工計画を考慮した設計ツールの更新を重点的に行う。ロバスト同時最適化手法の構築は優先順位を下げる可能性も検討する。
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Causes of Carryover |
1年目に生じた未使用額は本年度と次年度に分けて割り振られており,計画通りに使用している。残りの未使用額は関連研究の情報収集を目的とした旅費に利用する。
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