2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Evaluation Technique of Carbonation Resistance with Concrete Using Various Mixture Materials
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18K13869
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
秋吉 善忠 大分大学, 理工学部, 助教 (40713467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中性化 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 吸水性 / 透気性 / 鉄筋腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、元年度までに作製した各種コンクリート供試体について、促進環境および実環境における長期データを収集するとともに、暴露期間が約10年となるコンクリート構造物(セメント種類は普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種の2種類、加熱改質フライアッシュ(MFA)置換率は0および20%の計4調合)について、透気試験や吸水試験等の各種非破壊試験、ならびにコア供試体を用いた強度試験、中性化試験および細孔径分布測定を行った。さらに、MFAの比表面積の影響を調べることを目的として、比表面積の異なる3種類のMFAを用い、W/C’(C’=C+k×MFA, k=0.3)が55%の1水準において促進中性化試験および鉄筋腐食試験を行った。鉄筋腐食試験では、コンクリートのかぶり厚さは10mmおよび20mmの2水準とし、促進試験中に定期的に水を供給する条件で検討した。また、FAコンクリートの中性化抵抗性に関する文献データの収集を引き続き行い、得られたデータを用いて中性化速度係数の予測式の構築を試みた。 以上の検討の結果、雨掛りのある屋外においてはMFAコンクリートの中性化速度係数はセメント種類によらずプレーンコンクリートと大差ないこと、表層付近の組織は粗くなる傾向にあるが、内部の組織は緻密になる傾向がみられることがわかった。また、文献データを用いて中性化速度係数の予測式構築を試みた結果、FAの中性化抵抗性に対する貢献度kcを考慮したW/C’を用いておおよそ中性化速度係数を推定可能であることが確認できた。鉄筋腐食に関しては、促進期間3ヶ月においてかぶり厚さ10mmにおいても大きな変化は見られておらず、引き続き促進試験を継続しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
混和材を用いたコンクリートの促進環境下における中性化深さに関する実験については、一部の調合条件を除いて実施済みであり、残りの条件についても既に促進試験を開始しており、計画期間内に試験を終える予定である。鉄筋腐食に関する実験については、新型コロナウイルスの流行による影響を受け、コンクリートの打設時期が当初の予定より遅れたこともあり、現時点では鉄筋の腐食速度に変化は見られていない。引き続き促進試験を継続して行うが、腐食速度に変化が見られない場合には、乾湿繰返しの頻度や環境温度を変化させる等、さらに厳しい促進条件について検討する予定である。FAコンクリートの中性化に関する文献データはほぼ収集済みである。細孔径分布測定については、供試体の作製時期が遅れたことや、分析装置の故障の影響により全体的に作業が遅れているが、この点については、調合条件等の試験条件を選定した上で、外部の分析機関に試験を依頼する予定である。 以上より、当初の予定よりやや遅れ気味であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
中性化および鉄筋腐食に関する実験データを継続して収集するとともに、令和3年度は新たに定期的に吸水させたコンクリートの含水率の分布状況を把握することを目的として、各種センサーを用いた補足実験を実施する。また、混和材を用いたコンクリートの実環境におけるデータを蓄積するために、過去に作製した各種コンクリートを用いて、吸水試験、中性化試験、細孔径分布測定等を実施する。さらに、高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートについてもFAと同様に文献データを収集するとともに、これらの一連の実験、文献調査から得られたデータを用いて、混和材の中性化抵抗性に対する貢献度を定量的に評価し、混和材を用いたコンクリートの中性化深さ予測式の構築を試みる。 特に令和3年度は、令和2年度の遅れを取り戻すため、研究協力者を院生2名、学部生3名に増員するとともに連携を強化して、必要な実験や分析の実施、既往データの収集等の作業を加速する予定である。
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