2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Examination of Appearance of Cement Concrete Based on Logistic Regression and the Development
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18K13872
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
陶山 裕樹 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (20507876)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コンクリート / 外観 / 表面気泡 / ひび割れ / コールドジョイント / 汚れ / アンケート調査 / ロジスティック回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンケート調査およびロジスティック回帰分析を通じて、コンクリートの外観が一般的な消費者の心理に与える影響を定量化したうえで、外観に関する管理基準値を導出することを試みた。令和元年度には主に以下の研究成果が得られた。 (1)被験者がコンクリート表面に生じたコールドジョイントを気になる点として指摘する頻度は、表面気泡を指摘する頻度と比較して著しく少なかった。コールドジョイントは表面気泡と比較して、気づきにくい不具合事象と考えられる。 (2)築20年のコンクリート建築の表面を観察対象とした場合、被験者が気になる点としてひび割れを指摘する最大の要因はひび割れ幅、表面気泡を指摘する最大の要因は表面気泡率、色ムラもしくは汚れを指摘する最大の原因は明度L*の標準偏差であった。また、補修の要否の判断に与える影響が特に大きい因子は、コンクリート表面の「ひび割れが気になること」および「醜さ」であった。 (3)50%の被験者が補修を必要と回答する実建築に生じたひび割れ幅は、0.35 mm超であることが推定された。鉄筋保護の観点から屋外において補修が必要とされる。また、0.30mmのひび割れ幅に対しては、17%の被験者しか補修を求めないことが推定された。一方、50%の被験者が「補修を施す必要がある」と回答する実建築に生じた明度L*の標準偏差は、3.14と推定された。これらの値が、補修の要否を判断する美観上の基準値となることが示唆される。 (4)450x450 mmの小型コンクリート供試体と築20年のコンクリート建築とを観察対象として比較した場合、被験者のひび割れ幅および表面気泡率の許容値に関して、全体的に小型供試体より実建築物の方が寛容になる傾向が確認された。複数の不具合事象が複合的に発生した実建築においては、他の不具合事象の影響を受けて、ひとつの不具合事象の評価に対して寛容になると考察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に掲載した研究計画の凡その検討項目に関して、研究成果の論文発表を完了した。加えて新たな課題として、実際のコンクリート建築に複合的に発生した不具合事象に関する調査や、小型供試体と実建築とを観察対象とした場合の比較に挑戦し、調査データを取集した。進捗状況は、当初の計画を上回るものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30~令和元年度に得た調査データを用いて共分散構造分析(SEM)を実施し、消費者がコンクリートの不具合事象に対して印象を構築するモデルおよび補修の要否を判断するモデルを提案する。さらに得られたモデルを用いて、ロジスティック回帰分析で得られた不具合事象の管理基準値の整合性を考察し、得られた一連の成果を取りまとめて論文発表する。
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Causes of Carryover |
残額が少なかったため、無理に年度内に消化しなかった。次年度の研究発表の登録費や旅費に使用する。
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