2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on durable improvement of the earthquake-resistant repair
Project/Area Number |
18K13875
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
毛利 聡 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (80754415)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 維持管理 / 耐震改修 / 鉄筋コンクリート / 中性化 / 鉄筋腐食 / 接着一体性 / ディファレンシャルムーブメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では耐震改修された建築物の長寿命化を実現するために,鉄筋コンクリート(RC)造建築物の耐震改修により新たに付加された補強部材およびそれが取付けられた既存部材の耐久性を実験的に評価する。 当該年度は,まず,「課題1」として,耐震改修を施して3から15年経過した建築物の調査を実施した。調査の結果,既存・改修部分ともに目視できるほどの変状は確認できなかった。しかし,既存・改修部材の取り合い部分は目地に雨だれによる汚れが付着しており,そこから劣化因子が侵入しやすいことが確認できた。加えて,数種類の耐震改修工法の設計,仕様を確認し,実験計画策定の参考資料とすることができた。 課題1の結果を踏まえ,以下の研究を実施した。 「課題2. 中性化および鉄筋腐食に及ぼす影響の評価実験」では,RC造耐震壁や鋼製架構の増設のようにあと施工アンカーを介して新旧部材を一体化させた模擬試験体を作製し促進中性化試験と繰返し塩水浸漬による内部鉄筋の促進腐食試験を行った。実験の結果,取り合い部分の防水や仕上が適切でない場合,そこから内部に中性化が進行し,それがあと施工アンカーを介して新旧部材へ広がることを確認した。一方,鉄筋腐食及ぼす影響については当該年度内に確認することができなかった。 「課題3. 部材間の接着一体性に及ぼす影響の評価実験」では,既存部材へ接着される改修部材を模擬した試験体を作製しラバーヒーターを使用した温冷繰返しによる強制的な伸縮の導入による接着一体性の促進劣化試験を行った。当該年度は既存コンクリートに接着する部材としてモルタルおよび繊維シートをエポキシ接着剤で貼付けたものを対象とした。モルタルについては温冷負荷時の伸縮挙動を把握し,接着一体性の低下について確認できた一方で,繊維シートについては想定より接着一体性が高かったため,計画していた評価試験で評価することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題2について,内部鉄筋腐食の促進試験に予定以上の時間を要している。原因として試験において与える劣化外力の程度が低いことが考えられるため,試験体,試験方法の改良を行う予定である。 また,課題3について,当該年度実施した繊維シートに対して既存コンクリートの強度に比べて繊維シートの接着力が強かったために,接着一体性の評価試験(直接引張試験,ひずみ追従性試験)において既存コンクリート部分が破壊し促進劣化による接着一体性の低下を確認できなかった。従って現状,計画している繊維シートや鋼板と既存コンクリートとの接着一体性の促進劣化試験を実施できていない。促進劣化前後の接着一体への変化を捉えることができるように試験体の既存コンクリートの高強度化を図り再度試験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に,新旧部材取り合い部近傍の内部鉄筋の腐食および新旧部材の接着一体性の低下に関して,試験体や試験方法の改良を行い進捗の遅れを取り戻しつつ,耐震改修工法の材料や施工仕様などの実験要因を増やして実験を行い,耐震改修部分の耐久性に関するデータの蓄積および劣化メカニズムの解明を目指す。 また,次年度は各模擬試験体の屋外暴露実験を開始する。研究期間内で評価を実施するが,長期間の暴露により新たな知見を得る可能性が考えられるため研究機関以降にも評価できるよう試験体の準備を実施する。
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Causes of Carryover |
物品費において計画より費用を要しなかったこと,および既存建築物の調査において旅費を要しなかったことにより当該助成金が生じた。 次年度は試験体,試験方法の改良により予定より物品費を要するのでそれの補填に充てる。また,旅費については研究成果の国内発表を予定しているためそれの補填に充てる。
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