2019 Fiscal Year Research-status Report
竜巻状渦が構造物にもたらす風圧荷重を評価する数値モデルの開発
| Project/Area Number |
18K13877
|
|---|
| Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
|---|
Principal Investigator |
中尾 圭佑 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (40714473)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 竜巻状渦 / 風荷重 / ラージ・エディ・シミュレーション |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、竜巻状渦のもたらす風を把握するための数値解析技術を構築・整備した。また、それらを用いて竜巻の風が構造物へ作用する影響に関連する二つの検討を試みた。
まず、竜巻を誘引する気象場に関する数値計算を行なった。冬季の日本海側を対象として、竜巻形成に好環境な場の数値的再現を試みた。海塩粒子などの計算をし、その濃度場の再現性を検証し、それらが境界層構造に与える特性を調べた。その成果を、風工学の国際的専門学会において発表した（【学会発表】1件目）。以上から、より狭域における竜巻環境の再現を行うための環境が構築された。
もう一つは、ラージ・エディ・シミュレーション（LES）を用いた局所的・短時間な突風に関する検討である。境界層において吹く突風の特性を表現するのにピークファクタモデルが用いられる。本モデルにはスペクトル形状を設定する必要がある。近年の乱流現象の解明に伴い、新たなスペクトル形状の提案や、風速変動のモデリングが提案されてきている。ガストの時刻歴特性の把握のために実施したシミュレーションの結果から、ガスト発生の時刻歴を算出し、新たなスペクトルモデルや定量化手法を適用した。そして、ピークファクタモデルにより表現される突風特性が、LESから得られるガスト特性と整合することを確認した。また、計算結果に対して、大きなレイノルズ数における風速変動のモデリングを適用し、突風の時空間特性を表現できる可能性が確認できた。以上の成果を国内の数値流体力学に関する学会において発表した（【学会発表】2件目）。これらの知見は、一般的な境界層流における特性である。一方で、竜巻のような複雑な流れにおいて、これらのモデルが適用できるかはいまだ十分に知見がない。令和元年度得られた数値計算技術と分析手法を元に、竜巻状渦のもたらす風速特性を把握する予定である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】の通り、令和元年度までに多岐のスケールにわたる竜巻の発生・維持機構や突風機構を再現するための計算技術を構築した。また、それらから得られる計算結果の評価・考察を行なった。これらの検討により、竜巻状渦がもたらす気流特性を把握するための手法の準備が完了した。また、計算サーバの導入が予定通り進行し、今後の流暢な研究遂行を行う環境が整った。
今後の研究計画を達成するにあたって今年度の進行は概ね予定通りの遂行であったと考える。
|
| Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた数値計算技術を適用することで竜巻状渦を再現し、構造物に関連する風の情報抽出・分析を行う予定である。具体的な計画は以下のとおりである。
まず、竜巻状渦の数値的な再現をLESにより行う。本遂行にあたっては数値気象モデルの利用を考える。本モデルには構造物と風の相互作用を考慮するモデルを導入し、竜巻状渦の数値解析において、構造物の効果を考慮可能とする。それにより、竜巻状渦の再現特性を把握するとともに、構造物周りの気流計算可能性を検証する予定である。
続いて、実施した計算に基づき、構造物周りの気流変化特性を抽出する予定である。比較的小さな規模の竜巻の発生環境を数値計算によって構築し、構造物周りを通過する竜巻状渦の風速時刻歴を取得する。得られたデータから風速変動特性を把握する。複雑な構造物の表現に難点がある場合は、まずは数値上の簡略な表現が可能な構造物として風車などの要素を考慮する。
令和元年度は一般的な境界層流における気流を再現し分析した突風のモデリングの妥当性を検証した。一方で、竜巻のような複雑な流れにおいて、突風モデルなどが適用できるかはいまだ十分に知見がない。令和元年度得られた数値計算技術と分析手法を元に、竜巻状渦のもたらす風速特性を把握する予定である。
|
| Causes of Carryover |
令和元年度、外付けハードディスクなどのデータストレージ機器の購入を予定していた。しかし、喫緊の必要性がなくなったことから今年度の実施を見合わせた。
令和二年度分として請求した助成金と合わせて、研究遂行に伴いデータ保存量の増大に伴い適宜購入する予定である。
|
Research Products
(2 results)
