2020 Fiscal Year Research-status Report
良好な夜間景観整備に向けた屋外広告物の誘導輝度に関する研究
Project/Area Number |
18K13883
|
Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
神農 悠聖 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (50352977)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 夜間景観 / 屋外広告物 / 輝度 / 輝度規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、郊外の住宅地である西宮市の住居地域(阪急苦楽園口周辺)を調査対象地として広告物(内照式・外照式)の文字とその背景、広告物が設置された建物の壁面の輝度・色度を実測した。また広告物の照明状況を把握するため、照明方式、照明部位、光源の動作(点滅、動画など)を調査した。その結果、建物壁面輝度は、内照式・外照式いずれの広告物も大差はなく、50%値で0.5cd/m2程度であった。このことから西宮市阪急苦楽園口周辺の住宅地(以下、西宮市の住宅地とする)の建物壁面輝度は、2019年度に調査した神戸市の繁華街に比べて低く、郊外の住宅地における周辺環境は暗いことが示された。また、看板の最も明るい部分の輝度が、西宮市の住宅地と神戸市の繁華街とで大差はなかったことから、西宮市の住宅地の方が壁面に対する看板の目立ちが大きく、夜間景観への影響が大きいことがわかった。 さらに、西宮市阪急苦楽園口周辺で看板の輝度の実測調査を行った店舗を対象に、店舗の看板の制作過程に関するアンケート調査を実施した。53店舗中32店舗から回答(回収率60.4%)を得て、現在設置されている看板がどのような要望により制作されたのかなど、照明看板の制作の現状に関して具体的な内容を把握することができた。要望のなかには、看板の視認性や目立ちだけでなく、「街の景観を損なわないように」「街の人が安心して歩けるように」など、苦楽園の街の景観への調和や地域住民に対する貢献に関する回答も見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、2020年度は、1)歴史的街並み(豊岡市城崎町)と2)幹線道路で実測調査と分析、3)夜間街路空間の視環境評価実験の準備を行うことを挙げていた。 しかし、2019年度に予定していた、4)郊外住宅地(西宮市)、5)地方都市での実測調査が新型コロナウイルス感染症の影響で未実施であったため、2020年度はまず、4)における実測調査と分析を実施した。加えて、同地域における店舗(看板の発注者)の看板制作時の要望を把握するため、アンケート調査を行った。5)および1)については新型コロナウイルス感染症の影響で遠方への出張が難しかったため、実施できなかった。 1)2)5)における実測調査と分析が未実施であるため当初の計画から遅れているが、4)において、申請時の計画では予定していなかったアンケート調査を追加したことや、3)については2019年度にすでに検討を始めていることから、現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、地方都市、歴史的町並み、幹線道路において、夜間の屋外広告物およびその周辺環境の輝度・色度の実測調査を実施する。調査後はデータ整理を行い、看板内背景・文字や建物壁面の輝度値、文字と看板内背景との輝度対比、壁面に対する看板の最も明るい部分の輝度比等について分析し、各地域特性による特徴を明らかにする。 新型コロナウイルス感染症の影響により、今後も調査を実施できない時期が発生する可能性はあるが、国・兵庫県の動向や各地域における感染状況を注視しながら、調査を試みる。
|
Causes of Carryover |
地方都市、歴史的町並み、幹線道路の実測調査を2020年度に実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度にこれらの対象地における実測調査を実施するための旅費や測定補助の人件費として使用することを計画している。
|