2021 Fiscal Year Research-status Report
良好な夜間景観整備に向けた屋外広告物の誘導輝度に関する研究
Project/Area Number |
18K13883
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
神農 悠聖 大手前大学, 建築&芸術学部, 教授 (50352977)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 夜間景観 / 屋外広告物 / 輝度 / 輝度規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域特性ごとに妥当かつ適正な周辺環境の誘導輝度と、周辺環境に対する屋外広告物の輝度比を導出することを目的として、兵庫県内の各地域特性における夜間の屋外広告物およびその周辺環境の輝度・色度を調査している。 2021年度は、アーケード照明が設置されている商店街を調査対象地として、阪急神戸三宮駅及びJR元町駅付近にあるアーケード商店街の屋外広告物(内照式・外照式)の文字とその背景、広告物が設置された建物の壁面の輝度・色度を実測した。また広告物の照明状況を把握するため、照明方式、照明部位、光源の動作(点滅、動画など)を調査した。その結果、建物壁面輝度は商店街の場所によって異なり、50%値で7.3~38cd/m2程度であった。アーケード商店街ではアーケード照明が設置されていることから、建物壁面輝度は高く、アーケード商店街における周辺環境は明るいことが示された。看板の最も明るい部分の輝度は、いずれの照明方式の広告物も建物壁面輝度よりも高く、内照式および「内照式+外照式」の広告物の方が、外照式広告物よりも高かった。調査対象とした商店街では、店舗名の文字のみにLED光源を内蔵した内照式および「内照式+外照式」の広告物が多かった。また、同じ都市中心部にある繁華街と比較した結果、看板の最も明るい部分の輝度は、アーケード商店街の方が、繁華街に比べて高いが、壁面に対する看板の最も明るい部分の輝度比は、アーケード商店街と繁華街とで大差なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、2021年度は、1)夜間街路空間の視環境評価実験を実施することを挙げていた。しかし、2020年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響等で、各地域特性における夜間の屋外広告物の輝度の実測調査が未完了であったことから、2021年度は実測調査の続きを実施した。当初、2)歴史的街並みと3)幹線道路を予定していたが、都市中心部の繁華街よりも周辺環境が明るいと考えられる4)アーケード商店街で実測する必要があると考えたため、阪急神戸三宮駅及びJR元町駅付近のアーケード商店街を対象地として調査を行い、分析した。2)については新型コロナウイルス感染症の影響で遠方への出張が難しかったため、実施できなかった。 1)の実験と2)3)の実測調査と分析が未実施であるため当初の計画から遅れているが、4)において、申請時の計画では予定していなかった地域の実測調査を追加したことや、1)の準備を進めていることから、現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、歴史的町並みにおいて、夜間の屋外広告物およびその周辺環境の輝度・色度の実測調査を実施する。調査後はデータ整理を行い、看板内背景・文字や建物壁面の輝度値、文字と看板内背景との輝度対比、壁面に対する看板の最も明るい部分の輝度比等について分析し、各地域特性による特徴を明らかにする。また、夜間街路空間の視環境評価実験を実施する。実験後はデータ整理を行い、各地域特性の夜間街路空間の視環境評価について分析する。 新型コロナウイルス感染症の影響により、今後も実験や調査を実施できない時期が発生する可能性はあるが、国・兵庫県の動向や各地域における感染状況を注視しながら、実施を試みる。
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Causes of Carryover |
歴史的町並み等の実測調査および夜間街路空間における視環境評価実験を2021年度に実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度にこれらの対象地における実測調査や視環境評価実験を実施するための旅費や測定補助の人件費、被験者への謝礼として使用することを計画している。
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