2020 Fiscal Year Research-status Report
津波常習地域の集落における多層性を有する復興空間計画構築に関する研究
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18K13887
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 拓也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (60816859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 津波常習地域 / 復興 / 漁業集落 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時の計画に従って、岩手県沿岸集落における、(1)日常期の集落の空間変容についての把握、(2)東日本大震災後の空間の実態・利用状況の把握を行って きた。 (1)については、日常期の集落の空間計画の例として、山田町の集落を中心として、漁業集落環境整備事業による集落内の集落構造の構想および生活環境改善 の意図を分析した。また、山田町、大槌町、釜石市の6集落を対象として、生産、生活に関わる空間整備の展開と土地利用変遷について調査を行い、地形・立地的な条件、また昭和三陸津波後の復興計画によるその後の空間変容の影響について考察を行っている。特に大槌町の集落を対象として、土地所有履歴に関する考察から、農地や雑種地等の重要性について検討している。 (2)については、大槌町赤浜地区・吉里吉里地区において東日本大震災後の復興整備が実施された地域内の宅地の利用・再建状況を把握した。 以上、(1)を通じて、集落の空間形成パターン・平時における空間計画について把握出来つつある。各スケールによる交通基盤整備による影響、集落の地形的特徴による影響、チリ津波以降の海岸施設整備と住宅整備の関係性等が明らかになりつつある。津波常習地域における長期的な空間変容整備を理解することによって、事前復興に寄与する知見の構築につながると考えられる。(3)に関しては、低地部における土地の活用等、特徴的な空間利用の実態を解明していく必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究計画にしたがって、文献調査等については、順調に進行している。ただし、新型コロナウィルスの感染拡大による影響で、2020年は現地踏査やヒアリング調査の実施が困難だったことにより、これまでの調査内容の精査や分析を中心に実施した。また、同様に復興に関する研究を行っている研究者らとの研究会、ディスカッションにより、考察を深めることに注力した。
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Strategy for Future Research Activity |
復興の空間整備が完了していない状況などもあったため、今後は状況を見極めつつ調査を進行していく必要がある。また、成果について引き続き、研究者らとの研究会、ディスカッション等を実施することで、研究の推進を図っていく。 なお、今後、外出や移動の自粛が継続される場合、岩手県内での調査を縮小せざるを得ない可能性がある。状況におうじて、文献調査やオンライン等でのインタビュー調査に代替するなどの対応策を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による影響によって、研究対象地域への訪問・調査・ヒアリング等が困難であったことで、旅費としての使用ができなかったことによる。 次年度、一部可能な範囲で研究対象地域への調査を行うが、土地所有・利用履歴に関する資料取得に使用する。
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