2018 Fiscal Year Research-status Report
Characteristics of Formation Process of Residential Environment in Housing Complex Developed by Housing Co-op
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18K13898
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋田 竜兵 九州大学, 人間環境学研究院, 学術協力研究員 (20815063)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住宅生活協同組合 / 住宅団地 / 住民組織 / 住宅供給 / 居住環境形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,住宅生活協同組合(以下,「住宅生協」と略称)に開発された住宅団地の居住環境形成プロセスの特性を解明しようとするものである。 平成30年度は,自身が過去に調査を実施した所沢市と神戸市の事例を対象に,両地区のステークホルダーによる開発から今日までの居住環境に対する働きかけを網羅的に把握し,経年的に整理するための資料収集及び聞き取り調査を詳細に行った。特に所沢市の事例では団地開発に深く関わった初期の住民らが長く自治会組織を担い,安定的な地区運営を行ってきたが,近年の高齢化に伴い自治会組織を刷新し,運営体制の見直しを図っている近況を中心に確認した。一方,神戸市の事例では,住宅生協の事業から発展した社会福祉法人や団地の外に根拠を持つ社会福祉法人が複数の福祉施設を住宅団地の周囲で開設し,運営してきた。近年はそれらが住宅団地内の空間ストックを活用した施設開設にシフトしており,その際の地域の合意形成を自治会が担っている状況が明らかとなった。以上の2地区に加えて,事例検討の対象地として選定した札幌市の住宅団地に関する資料(空中写真,地図,開発主体の社史,住民組織の記念誌など)を収集し,整理した。 次に,全国で設立された住宅生協に関する資料が各地に散在する状況からその収集を行った。各地の住宅生協は,1960年前後の労働者の住宅運動を発端に設立されていくが,活動実態(組織体制の規模,活動期間など)や住宅供給実績(供給量,住宅団地の規模,住宅の種類など)に相違があり,必ずしも一律の実像があるわけではないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究実施計画では,所沢市と神戸市の事例に加えて,札幌市の住宅団地の現地調査を実施する予定であった。しかしながら,住宅生協に関する資料が各地に散在する状況が判明したため,初年度はその収集及び整理を優先することにした。そのため札幌市の住宅団地に関しては,空中写真,地図,開発主体の社史,住民組織の記念誌などの資料収集とその整理に留めた。事例検討を行う対象地の位置付けを明確にする上で必要な情報を得ることができたため,初年度はこの分析作業を重点的に進めたことで,今後札幌市での現地調査を行う上でも重要な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は初年度の研究実施計画で予定していた札幌市の住宅団地の事例検討を行う。具体的には,団地計画(配置計画,住棟計画,住戸計画・施設計画など),地区のステークホルダー(開発者・住民・住民組織・行政機関・事業者など)による開発から今日までの居住環境に対する働きかけ,開発以降に生じた地区の空間変容(施設の増改築・建て替え・用途変更,住宅の増改築・建て替え・用途変更など)を網羅的に把握し,整理する。その成果をとりまとめ,先行して調査を行ってきた所沢市と神戸市の事例を加えた3地区間の実態を比較検討する枠組みを構築する。さらに,枠組みの構築を通じて比較要素のより詳細な情報が必要となれば,その収集を全地区で実施する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度購入を予定した一部消耗品に関して自身のストックで対応できたため若干の次年度使用額が生じた。それらは次年度に使用予定の消耗品費に加算して使用する。
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Research Products
(1 results)