2019 Fiscal Year Research-status Report
信仰に関わる文化的景観の現代的意義:世界遺産保存管理を通じた計画論的研究
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18K13899
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川崎 修良 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 講師 (60726884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 景観の領域性 / 世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、文献調査を基に対象地域の現地調査による仮説検証と、海外研究者との研究交流を行い、仮説について実証ができた地域については論文の執筆に取り掛かった。 斎場御嶽については前年度に実施した文献調査、インタビューを通して得られた仮説を裏付けるために、現地調査と非公開の行政文書の開示調査を実施し、成果について論文「信仰に関わる文化的景観の領域化の手法に関する研究(その1):斎場御嶽のゾーニング政策の推移の検証」を執筆投稿した(日本建築学会計画系論文集・2020年4月25日の時点で審査中)。 平泉については世界遺産登録プロセスの整理と追跡インタビューを行い、世界遺産登録延期から再申請登録に至るまでの議論の流れを確認し、成果の論文への取りまとめに取り掛かっている。 バリ州については、前年度調査で入手した文献の読解と現地調査計画を進め、ウダヤナ大学(デンパサール)・ガジャマダ大学(ジョグジャカルタ)の研究者とメールにて情報交換を行った。また、文献調査で得られた仮説を検証するための現地調査にて、文献情報と地図情報の紐づけを行ない、遺産の領域性に境界地域に所在する寺院の位置が影響している可能性を確認した。今年度についてはコロナウイルス の影響で現地研究者・住民への直接のインタビューが困難であったため、仮説の検証については2020年度の実施を計画している。 平戸については引き続き文献調査を進め、国内の2事例に対する比較の視点で整理を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度においては、①文化的景観の領域性の定義と、②策定計画と無形の資産の関係性: 計画化における捨象のプロセスを、現地調査と分析を通して確認し、一部地域については論文を執筆することを予定していたが、斎場御嶽については論文執筆が完了し投稿中、平泉については現在執筆作業を行なっており、年度内の論文掲載までは至らなかったが取り戻せるペースで進んでいる。また、2020年度後半から取り掛かる予定であった③信仰に関わる文化的景観保存管理の現代的意義の検証については海外と日本の事例比較が必要となるが、コロナウイルスの影響で海外事例についての十分な調査が行えず、状況が落ち着いたのちの現地調査が必要となる。このような状況から、やや遅れていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度 [斎場御嶽] 論文執筆作業の中で新たに構築した仮説や課題について追跡調査を行う。[平泉] これまでの成果を基に論文執筆を進め、必要に応じて追跡調査を行う。[バリ州]これまでの調査で構築した仮説を基に、現地住民、行政官へのヒアリング調査と現地研究者との研究交流を行い、仮説の検証と日本の事例と比較するための整理・考察を進める。[全体]4地域について地域の特徴、制度や文化の差異等を踏まえた比較検証を進め、信仰に関わる文化的景観保存管理の現代的意義の考察を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で海外調査時に実施予定であった現地研究者との研究会、現地住民・行政官へのインタビューが実施できず、通訳費等が執行できなかった。研究に必要なプロセスであるため、来年度の現地調査において今年度実施できなかった通訳を要する調査を実施することで使用する。
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