2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on plant using construction design of traditional wooden houses through land use
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18K13904
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
青柳 由佳 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (60713724)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木造建築構法 / 民家 / 植物資源 / 土地利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
これからの循環型社会構築に向け、数年で成長する循環利用可能な植物資源を建材の一部に利用することは今後ますます重要になると考えられる。本研究は現在求められる植物資源の循環利用が江戸時代から戦後頃まで各地域で行われていたという仮説に基づき、その仕組みを現存する伝統的な民家や土地利用図を資料として明らかとすることを目的としている。研究対象地は、森林資源が豊富なため江戸時代において天領であり現代においても伝統的な民家が多数残る飛騨、木曽地方と本州とは植生が異なり特徴的な民家が多数現存する奄美大島とする。調査は大きく分けて1)伝統的な民家の構法調査と2)調査地域の土地利用調査である。 本年度はコロナウイルスの影響により、当初予定していた現地調査を行うことが出来なかった。よって過去に行った調査のまとめを行いつつ、コロナウイルスの状況改善後の調査再開へ向けて準備を行った。2018年に奄美大島の山間部の地域で現地調査を行い実測できたヒキムン構法民家とその民家の付属屋である地倉と農機具小屋の事例を基に、ヒキムン構法民家と付属屋の構法の類似点と相違点をまとめて、2021年度の日本建築学会大会学術梗概にまとめた。ヒキムン構法の内法高さに使用されるヒキムン材は付属屋には見られなかったが、床高さに使われる構法は部材寸法が類似した地倉と部材寸法を2/3程度に小さくした農機具小屋にみられ、建物の機能により合理的な構法の選択が見られることを確認した。当初予定していたヒキムン構法民家の地域性だけでなく、ヒキムン構法民家と付属屋との比較についてまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度は飛騨・木曽地方の現地調査、奄美大島の現地調査を行った。1)民家の構法調査を実施して、民家に使用されている材種についてそれぞれの特徴を明らかとした。 2019年度は奄美大島の島嶼部においてヒキムン構法民家の実測調査を行った。1)民家の構法調査では、既に実測調査を終えている奄美大島の平野部の地域と山間部の地域との比較が可能となったが、島嶼部での実測棟数が2棟であるため、引き続き現地調査を行って実測調査棟数を増やしたいと考えた。2)土地利用調査では、奄美大島における調査対象集落(奄美大島山間部)の建設当時の土地台帳記録の入手を行なった。 2020度はコロナウイルスの影響により、当初予定していた1)民家の構法調査のための現地調査(飛騨、木曽、奄美大島)を実施することが困難な状況であったため助成事業の延長申請を行った。2)土地利用調査では、昨年度入手した奄美大島における調査対象地域(奄美大島山間部)の土地台帳記録の整理を行なった。 引き続き今年度は調査のまとめの年であるためコロナウイルスの状況をみて現地調査を再開したい。また同時に入手した土地利用図についてまとめることで学会発表、地域へ調査の還元を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は調査のまとめの年であるためコロナウイルスの状況をみて、1)民家の構法調査を行うため現地調査を再開したい。 2018年度は1)民家の構法調査を行うため、飛騨・木曽地域の現地調査を中心に行った。 2019年度は1)民家の構法調査を行うため、奄美大島を中心に現地調査を行った。 2020年度はコロナウイルスの状況より現地調査が難しい状況であったため、2)土地利用調査のまとめを行いつつコロナウイルスの収束を待った。 2021年度は1)民家の構法調査について補足調査を行いながら実測棟数を補完したいと考えている。2)土地利用調査については、奄美大島島嶼部地域の土地利用図の入手を試みたい。以上をまとめて「土地利用に基づく地域の民家構法デザイン」として小冊子にまとめたいと考えている。さらに学術論文に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、当初予定していた現地調査を行うことが困難であったため、助成事業の延長申請を行った。 次年度(2021年度)はコロナウイルスの状況を鑑みて、現地調査を再開したいと考えている。コロナウイルスの状況によっては民家調査が困難な状況が考えられる。その場合においても現時点で未入手の奄美大島における島嶼部の集落の土地利用図、土地利用台帳記録の入手を現地にて行いたいと考えている。また調査地域に研究成果を還元するために「土地利用に基づく地域の民家構法デザイン」として小冊子を作成する。さらに日本建築学会へ論文を投稿予定である。 次年度の助成金の主な使用目的は・現地調査による旅費・小冊子作成費・論文投稿費である。
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Research Products
(1 results)