2018 Fiscal Year Research-status Report
The Basic Data Base of Community Disaster Risk Management Activities on Preservation Historical Districts
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18K13905
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 度源 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (40734794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重要伝統的建造物群保存地区 / コミュニティ防災 / 地区防災計画 / 防災活動 / 防災文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に①日本の重要伝統的建造物群保存地区における地区防災計画から実践性の高いソフト防災活動の取り組みを調査することで、②文化財としての枠組みを超えた国内外の歴史的な町並みにおけるコミュニティ防災活動を支援する基礎的なデータベース構築を目的とする。その初年度としての進捗状況ならびに研究実績は下記の通りである。 A. 文化庁文化財第二課へのヒアリング調査を通して地区防災計画策定状況とその実践に置いて現状の課題を把握し、全国調査に向けた情報収集を行った。B. サンプリングとして長野県・岐阜県・秋田県などの重要伝統的建造物群保存地区を現地調査し、歴史、地域文化、住民組織や直面している災害リスクなどの変数を把握した。C. アンケート調査分析のためのツール整備を行った。これらの項目より次年度の全国調査(伝建地区担当行政官、住民代表へのアンケート調査)に向けた基礎調査を概ね完了できた。 特にAのヒアリング調査とBの現地調査を通しては、地区ごとに実践されているコミュニティ防災活動はそれぞれ異なる特性が見受けられることが分かった。伝建地区ごとの防災上の課題やその社会的な環境・背景と防災活動とが、どのように関連しているのか、どのような自助・共助・公助が実現されているのか、行政で求められる災害対策と住民が求む災害対策は異なることがあるため、この差を埋める必要があると考えられる。また、今までにも地区防災計画は木造街並みに対しての火災対策に重点が置かれていたため、耐震対策や、水害対策などにも着目する必要性が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は概ね予定通りの計画に沿って全国調査やサンプリング調査の実施に向けた情報収集を行い、調査分析に向けてツールの整備まで進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には全国119ヶ所の重要伝統的建造物群保存地区への全数アンケート調査を実施することでデータベースの基盤を作成し、3年目の悉皆調査(事例調査)に向けたサンプリングを行う。
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Causes of Carryover |
初年度において大きく変更が発生した点は人件費である。当初初年度に実施予定であった全国調査が次年度に延期されたことで、そのデータの集計や分析に関わる人件費が発生しなかったからである。一方で、次年度の前期に全国調査と事例調査を同時に進める予定であるため、次年度使用額については執行の目処がついている。
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