2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of damage estimation methods for traditional wooden buildings by Nankai Earthquake
Project/Area Number |
18K13912
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
宮本 慎宏 香川大学, 創造工学部, 准教授 (80505694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 南海地震 / 伝統構法木造建物 / 構造特性 / 地震観測 / 被害推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、四国地方の重要伝統的建造物群保存地区における伝統構法の木造建物の構造特性を明らかにし、地震動の地域特性を考慮した南海地震による被害推定手法の提案を目的とする。具体的には四国地方の重要伝統的建造物群保存地区である香川県丸亀市、愛媛県内子町、愛媛県西予市、高知県室戸市を対象とし、その地域における伝統構法の木造建物の構造特性、想定される建物の被害、被害推定結果の妥当性を明らかにする。 平成30年度は、愛媛県内子町と高知県室戸市を対象として現地調査を行い、各地域の伝統構法の木造建物の構造特性を明らかにした。次に、愛媛県内子町における代表的な仕様の実大土塗壁試験体を作製して静的載荷実験を実施した。それらの結果を基に、既往の南海地震による想定地震動を用いて限界耐力計算を実施し、南海地震に対する伝統構法の木造建物の被害推定を行った。 平成31年度は、愛媛県内子町と香川県丸亀市を対象として現地調査を行い、各地域の伝統構法の木造建物の構造特性を明らかにした。次に、各地域の代表建物の常時微動計測を実施して基本的な振動特性を把握した。さらに、愛媛県内子町の代表建物に地震計を設置して地震観測を開始した。 令和2年度は、愛媛県内子町の代表建物の立体解析モデルを用いて、必要耐震性能を満たすための効果的な耐震補強工法を検討した。また、各地の伝統構法の木造建物に多数見られる開口部を有する実大土塗壁の静的載荷実験および水平材と柱の接合部の引張性能を把握するための要素実験を行い、荷重変形関係や破壊性状を把握した。さらに、水平材と柱の接合部の引張性能を考慮した平面解析モデルを構築し、開口部を有する土塗壁の荷重変形関係を概ね推定可能であることを示した。なお、愛媛県内子町の代表建物に設置した地震計では、これまでに十分な観測記録が得られていないため、地震観測は今後も継続して実施する予定である。
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