2019 Fiscal Year Annual Research Report
Large-thrust operation of electric propulsion by using electrostatic/magnetic hybrid ion acceleration
Project/Area Number |
18K13925
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80815803)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 静電/電磁混合イオン加速 / 電気推進機 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学推進機と比較して高い排気速度を達成可能な電気推進機は,発生する推力が小さいために,軌道遷移に要する時間が長期化することが課題である.本研究 では軌道遷移時間短縮に向け,静電/電磁混合イオン加速による電気宇宙推進機の大推力化を目指す.本年度は①カソード位置がイオン加速機構に及ぼす影響の調査と,②強磁場下での静電・電磁混合イオン加速に取り組んだ. ①について,カソード位置のみをパラメータとして推進機の作動特性を比較した.カソードを放電室中心部に配する場合と放電室外部に配する場合の2つのカソード配置に対して推力測定通じてイオンの加速に対する電磁加速機構と静電加速機構との寄与をそれぞれ算出した.その結果これまで放電室中心部においてのみ生じると考えられていた静電/電磁混合イオン加速が,カソードを放電室外部に配置しても同様のイオン加速を達成できることが明らかとなった.この時推力密度(単位面積当たりに発生する推力値)は50N/m2を上回り,現行の電気推進機と同程度ないしそれ以上の値に達した. ②について,これまでに製作した推進機の磁場形状と相似形となるよう磁気回路を設計し,強度のみ最大0.2Tまで増加させた.イオンビーム特性及び推力特性を測定した結果,推進剤の多価電離を示唆する結果が得られた.各価イオンの流束,エネルギー分布とから多価イオンの流量及び推力に対する寄与を見積もったところ流束,推力に対する2価イオンの寄与はそれぞれ28%,39%であることが分かった.従来のキセノン推進剤と比較して分子量の低いアルゴン推進剤を使用し,多価電離を促進させることで排気速度が向上する.本研究における比推力は最大3800秒に達し30%を上回る推力効率を達成した.
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