2018 Fiscal Year Research-status Report
熱設計制約を低減するループ型自励振動ヒートパイプの熱輸送機構と設計自由度の解明
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18K13928
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
岡崎 峻 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (00747751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自励振動ヒートパイプ / 熱輸送 / 気液二相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来主に研究されている加熱部と冷却部を往復する蛇行管によって構成される自励振動ヒートパイプ(通常OHP)と,従来の形状制約を排除し加熱部と冷却部を交互に配置した円形状の自励振動ヒートパイプ(ループ型OHP)を構築し熱輸送特性を評価した.今年度は,加熱部と冷却部は均等に配置した形状は固定し,封入率などを変化させた評価を行った.最小熱輸送能力,最大熱輸送能力の評価,内部流体の絶対圧力の変動を複数個所で同時計測し発生する圧力振動の大きさを評価した. 内部に封入する作動流体の割合を変化させた実験では,ループ型OHPにおいて,封入率約50%において最も高い最大熱輸送量を示した.結果,代替フロン系冷媒を使用した通常OHPの過去の研究と同様の性能を有している結果であり,ループ型OHPOでも従来の知見を適用できることが確認された. また,詳細な温度計測の結果,熱負荷が小さい条件では加熱部に過冷却された冷媒が流入し,沸騰開始に過熱度を要するため温度振動と圧力振動が共に大きくなることが解った.このため,低熱負荷では不安定に見える挙動を示すと考察される.これは,通常型OHPとループ型OHPの双方で観測された. 圧力計測の結果,ループ型OHPと通常OHPの比較では,同様の圧力振動が確認され双方は駆動力として同じ特性を有していることが解った.これは,本実験を行った条件(形状,作動流体,熱負荷)では蛇行管部が自励振動ヒートパイプの駆動力に影響をほとんど与えていないことを示唆している.本研究の結果,自励振動ヒートパイプを用いることでポンプなどの外部駆動力を用いずに,高自由度な熱輸送経路での熱輸送が可能であることが実験的に実証された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時時に計画していた計画を順調に実施できている.また,本研究を実施する中で,過去の研究で明確に説明されていない自励振動ヒートパイプの不安定な挙動に関する理解を得る現象も捉えることができ,今後の研究につながる成果をあげられているため.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り,ループ型OHPの自由度を検証するために,ループ型OHPの一部分に加熱部と冷却部が偏った条件,1ループ中に配置する加熱部と冷却部の数(従来型OHPでのターン数)を変化させた条件において,最大熱輸送量と圧力振動を計測する.
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Causes of Carryover |
研究計画を行った際の見積額に対して,実際に購入する際に減額されたため.実験に使用する消耗品(継ぎ手など)の購入費用として使用する.
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