2019 Fiscal Year Research-status Report
宇宙用大型膜の初期変形を用いた展開の高信頼性化と展張形状の高剛性化
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18K13929
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 泰貴 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70726760)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜構造 / 折り目 / 展張形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙用大型膜の展開および展張の高信頼性化を実現するためには,折り癖や膜面デバイスによって生じる初期変形が展開および展張に与える影響を明らかにする必要がある.2019年度は,(1)折り癖の展張形状予測のための有限要素モデル,(2)折り癖の簡易力学モデルの構築,(3)膜面スケールモデルによる展張形状特性の検討,を実施した.詳細を以下に述べる. (1) 収納時に形成される折り癖は,展張時に張力負荷によって変形し,最終的な展張形状になる.今年度は,昨年度未実施だった張力負荷後の形状を対象とし,有限要素解析モデルによる予測を検討した.展張試験の結果,粘性によって時間経過にともなう形状変化が認められた.このため,引張試験および応力緩和試験によって膜材の物性値を取得するとともに,それらを粘弾塑性材料として有限要素モデルに組み込んだ.その結果,良好な精度で展張形状を予測できることを示した. (2) 大型膜の展張形状を解析で予測する場合,全ての折り癖を厳密に考慮することは膨大な計算量となるため,簡易な予測モデルが必要となる.そこで,折り癖形成時の弾塑性変形および展開時の応力緩和を考慮した折り目の二次元力学モデルを構築した.実験との比較の結果,有限要素モデルほどの推定精度はないものの,簡易予測法としては十分に傾向を表せる方法であることが示された. (3) 膜面デバイスの局所的な反り変形が膜面全体の形状に与える影響を解析および実験を通して明らかにした.IKAROSのスケールモデルを作成し,膜面デバイスの配置と全体形状の関係を検討した結果,デバイスの反り方向が変わると全体形状も変わることが示され,その定性的な傾向が解析と実験で一致することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していた,展開/展張の現象理解がおおむねできていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,これまでの折り癖モデルおよび膜面デバイスのモデルをベースとして,展開/展張形状の要求を満たすように膜面をデザインするための設計論を構築する.また,設計論を小型膜面モデルに適用し,その有用性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
2020年度に実験予定の小型膜面モデルのうち,一部部品(モータ関連部品)を2019年度に手配し,事前評価試験を実施する予定であったが,進捗状況を鑑みた計画の微修正により,この評価試験を2020年度に実施することとなった.このため,2019年度の消耗品費の一部を2020年度に繰り越すこととなった.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Shape of a Square Solar Sail Consisted of Four Trapezoid Petals with Curved Thin-film Devices: Simulations and Experiments2020
Author(s)
Matsushita, M., Okuizumi, N., Satou, Y., Iwasa, T., Mori, O., and Matunaga, S.
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Journal Title
JSASS Aerospace Technology Japan 32nd ISTS papers, (Accepted)
Volume: 未定
Pages: -
Peer Reviewed
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