2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Quantitative Observation Technique for Fluid Flow Rate at Hydrothermal vents
Project/Area Number |
18K13937
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
井原 智則 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70767350)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海底熱水鉱床 / 超音波流速分布計測 / 深海 / 噴流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでになかった熱水流量の定量的観測方法の開発を行い、実際の深海底における熱水噴出孔において長期間観測を行うことで、熱水鉱床の「生産量」を定量的に評価するための手法を創出することを目的としている。 2年目となる本年度において航海の機会には恵まれなかったが、初年度において実航海による熱水噴流計測結果を詳細に分析し、流動構造の解明を試みた。計測された結果からは、実験室で行った計測と同様の流速分布が観測することが出来た一方、振幅強度分布の説明に検討が必要であることが分かった。具体的には、噴流の境界において明確な振幅のピークを有する結果が得られており、これは、ポテンシャルコア部で強い振幅のピークが見られた実験室での計測結果とは異なる結果であった。 そこで、実験室において熱水起因の物性変化を模擬した体系を構築し、同様の実験を試みた上で深海熱水噴流計測時に見られた同様の計測結果が得られるかについて検討を行った。また、数値解析を併用して超音波の伝播を解析した。深海熱水噴流の音速については参考となる文献が限られているが、適宜データを補間することで、妥当な評価が行えることを確認出来た。これらの結果から、噴流内における熱水由来の急峻な温度勾配が超音波計測において影響を与えていることを示唆する結果を見いだした。引き続く研究において、これらの知見を生かし、更なる熱水噴流構造の解明に近づくことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
残念ながら、本年度において実航海による新データの取得は適わなかったものの、すでにあるデータを多角的な視点で検討することで、観測結果を評価する上で重要な流動構造把握に役立つ重要な知見を得ることが出来た。従って、当初の目的をおおむね達成していると判定し、上記の評価を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
熱水流動に対する外部要因や温度場の影響について、実航海による計測と検討を行うことで、最終的に本研究課題が目的とする開発研究が達成できるようにする。 研究を進める過程で、当初の想定以上に深い考察が得られているため、必要に応じて他の研究者の助言を求めることで円滑に研究が進むように工夫する。 また、研究で得られた知見を広く社会に発信する。
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Causes of Carryover |
実航海による計測器開発に予算を充てていたが、当該年度において航海の機会に恵まれず、次年度においてその機会を得たため、円滑な研究遂行を行うべく研究費の一部を次年度使用額とすることとした。
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Research Products
(2 results)