2018 Fiscal Year Research-status Report
衝突事故において船舶に刻まれた傷の形状等から衝突状況を推定する手法に関する研究
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18K13947
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| Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
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Principal Investigator |
中山 喜之 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (70747013)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 船舶衝突海難 / 衝突角 / 相対運動 / 画像解析 / 衝突実験 / 海上保安 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、船舶衝突事故において船舶に刻まれた傷の形状・角度等から、衝突時の状況を推定する手法を確立することである。
研究初年度である2018年度においては、過去の衝突事故において船舶に刻まれた傷の状況・そのときの船舶の挙動等について調査・検討することから研究を進めることとした。海上保安庁刑事課の協力の下、過去の衝突事故に関する資料を収集し、その内容を精査することで、必要な情報（船舶の傷の状況、衝突時の船舶の針路・速力、気象・海象条件等）をデータベースにして取りまとめた。
併せて、本研究の目的を達成するには、船舶の衝突実験を行うことが必要不可欠であることから、その具体的な実施方法について検討した。当初の計画では、自航可能な模型船を製作し、その運動計測についてはトータルステーションにより行う予定としていたが、予算の制約の問題に加え、将来的な研究の発展性を鑑み、計画を以下のように変更することとした。
模型船については、比較的安価なＲＣボートを採用することとし、様々な状況について数多くの実験が実施できるようにした（実験によりＲＣボートが故障・沈没しても、十分な数の予備を用意することで、所定の実験を完遂できるようにした）。ＲＣボートの運動計測については、衝突の瞬間を高速度カメラにより撮影し、その画像を解析することにより、実施することとした。検討の結果、画像解析のソフトウェアとしてはHALCONが最適との結論に至り、現在、その取り扱いに習熟するとともに、その他の実験に必要な器材等についても準備しているところである。また、実験条件については、上記のデータベースに基づき設定する予定としており、詳細については、現在検討中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載したとおり、予算の制約の問題に加え、将来的な研究の発展性を鑑み、衝突実験の計画を変更したところであるが、変更後の実験資機材等については予定通り準備が進んでいる（模型船としてのＲＣボート、運動計測装置としての画像解析ソフトウェア等について購入完了している）。また、計画通り、海上保安庁刑事課から、過去の衝突事故に関する資料収集を実施し、データベースについても作成完了している。
なお、実験の実施に関し、広島大学の安川宏紀教授等に助言をいただいており、今後の実験計画や画像解析による運動計測等についても、引き続き協力をいただける体制となっている。衝突実験を実施するプール（角水槽に見立てたもの。海上保安庁が所有。）の使用についても、問題ない旨、関係者から同意を得ている。現在のところ、研究の遂行に大きな支障は無い。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究２年目となる2019年度においては、当初の計画通り、構築したデータベースに基づき、船舶衝突事故において船舶に刻まれた傷の状況（形状・衝突角等）と、それらに対応する衝突時の状況（船舶の挙動等）との関係について、一般的な共通の特性は無いか、あるいは、何らかの相関関係はないか、解析を進める。また、解析結果および船舶同士の相対運動に関する理論から、衝突状況の推定に有用な仮説を導いていく。
その後、仮説の検証のため、模型船（ＲＣボート）による衝突実験を行うことを計画している。実験条件については、構築したデータベースに基づき設定することを基本とし、実験を行いながら、適宜、実験ケースを追加していくことも想定している。
まずは、衝突時に模型船（ＲＣボート）に視認しやすい傷をつける手法について検討し（現在のところ、衝突相手に塗料を塗布しておくことを考えている）、その傷の形状や船首尾線からの角度等を容易に計測できる手法を確立する。さらに、画像解析による運動計測手法について、その計測精度に関する検証を行うのはもちろんのこと、トライ＆エラーを繰り返しながら、最適な計測条件・装置の配置等についても検討していく。
以上のように、2019年度においては、推定手法に関する仮説の設定、仮説検証のための衝突実験の実施を目標とした研究に従事する予定である。2020年度・2021年度においては、さらなる衝突実験の実施、仮説の再構築、結果のとりまとめ等を実施し、国内にあっては日本船舶海洋工学会等での研究発表・論文投稿、国外にあってはMARSIM2021等での研究発表を実施することを目標としている。
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| Causes of Carryover |
「研究実績の概要」で記載したとおり、予算の制約の問題に加え、将来的な研究の発展性を鑑み、衝突実験の計画を変更した。そのため、運動計測に使用する予定であったトータルステーションの購入を取りやめたことが、残額が生じた主な理由である。
2019年度分として請求した金額（1,200,000円）と残額との合計（約1,800,000円）については、模型船（ＲＣボート）の追加購入、画像解析に使用する高速度カメラの追加購入（各種の実験条件に最適な計測システムを構築するため）、その他の実験関連装置の準備といった物品費に多くを使用する予定である（実験の状況によっては、ＲＣボート以外の模型船を別途製作する可能性もある）。また、実験の手法等について、各大学または各研究機関等の職員と意見交換を行うため、旅費についても2018年度に比べ多くを使用する計画である。
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| Remarks |
各種の海難防止にかかる委員会の委員を務めている。当該年度の実績は以下の通り。
・日當博喜，下川伸也，中山喜之他：本部港大型客船入出港に伴う航行安全対策調査専門委員会報告書,西部海難防止協会，2018.10
・寺本定美，古川芳孝，酒出昌寿，中山喜之他：佐世保港(浦頭地区)大型客船入出港に伴う航行安全対策調査専門委員会報告書,西部海難防止協会，2019.2
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