2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of enclosure for reduction of dispersion and stagnation in high pressure hydrogen leakage
Project/Area Number |
18K13957
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
朝原 誠 岐阜大学, 工学部, 助教 (40633045)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 水素漏えい / 高圧水素設備 / 水素ステーション / 水素濃度分布 / 火炎影響 / ジェット火炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
「82MPa高圧水素ガス設備における離隔距離8m」の代替措置として、“大漏洩時における水素の移流を遮へいし” かつ “小漏洩時における水素の滞留を抑止する” 2つの効果を有する障壁を提案し、離隔距離の短縮を目指す。本研究では、多孔やスリットを有する障壁による噴流遮へい効果を用いて、距離規制の代替措置としての有効性を評価する。 過去の研究において、水素ステーション等にコンクリートで固められた障壁を置くことで、ジェット火炎による熱被害領域を縮小する効果が示されている。しかしながら、障壁を隔てた漏洩側の領域に水素が滞留するため、障壁を設置することで爆発事故の頻度が著しく上昇すると考えられる。また、蓄圧器等の高圧水素ガス設備の格納庫への収容が検討されているが、格納庫を完全な閉鎖空間にした場合、水素滞留による爆発頻度の上昇が懸念される。このような背景において、格納庫の壁面に隙間を設けることで“水素拡散領域の縮小”と“水素滞留の防止”を同時に実現できると考えられる。大流量漏洩時には、壁面部において運動量による水素の移流を遮へいすることができ、水素拡散領域が縮小すると予想される。一方、小流量漏洩時には、隙間からの換気によって滞留が防止されると予想される。 本研究では、82MPaの高圧水素をφ0.2mmのノズルから噴出した場合における、自由噴流と障壁衝突噴流の①PIVによる空間速度分布計測、②多点濃度測定による空間水素濃度分布計測、③強制着火による火炎影響領域計測を行い、障壁による可燃濃度領域と火炎影響領域を比較する。さらに、数値シミュレーションによって、82MPa以上の圧力条件や、0.2mm以上の開孔からの噴出における可燃濃度領域と火炎影響領域を示し、障壁の効果を評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目実施の82MPa水素噴出実験に向け、まずは、低圧噴流を障壁に衝突させた場合の流動挙動を可視化する模擬実験を行い、噴流の遮へい効果を確認した。この実験では、1MPa以下の圧縮空気にオイルミストを混入させてノズルから噴出し、噴流軸にレーザーシートを入射することで流れを可視化した。その結果、障壁に衝突後、壁に沿って拡散する流れと、開口部から障壁を通過する流れを確認し、予想通りの遮へい効果が得られていることがわかった。 さらに、PIVによって、障壁の上流側と下流側の流速を測定した。その結果、障壁の上流側では、自由噴流における理論と同様の軸上速度分布、半値幅となっており、障壁の下流側では急激に減速するものの、軸上速度分布と半値幅は、係数が異なるものの、上流側と同関数で示されることがわかった。 上記の実験と並行して、数値シミュレーションにより、82MPaの高圧水素がφ0.2mmのノズルから噴出した場合における自由噴流と障壁衝突噴流の可燃濃度体積を比較した。その結果、障壁衝突噴流の場合には、可燃濃度領域が短縮された。 上記のように、当初に予定していなかった低圧噴出実験において、障壁による噴流遮へい効果を得ることができた。さらに、障壁の開口率によって水素濃度分布を予測する式を得ることができると予想され、2年目の研究における学術的な期待が高まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、低圧噴出実験において、障壁の開口率によって水素濃度分布の予測式を得ることを目指す。得られた予測式から、82MPaの高圧水素をφ0.2mmのノズルから噴出する本実験に向けて、想定結果を予測する。 本実験では、自由噴流と障壁衝突噴流の①PIVによる空間速度分布計測、②多点濃度測定による空間水素濃度分布計測、③強制着火による火炎影響領域計測を行い、障壁による可燃濃度領域と火炎影響領域を比較する。 続いて、数値シミュレーションによって、82MPa以上の圧力条件や、0.2mm以上の開孔からの噴出における可燃濃度領域と火炎影響領域を示し、障壁の効果を評価する。まずは、本実験と同条件でのシミュレーションを実施し、実験結果と比較することでシミュレーションの妥当性を示す。
|