2018 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of visibility by dynamic control of expressway tunnel lighting and establishment of total revealing power
Project/Area Number |
18K13959
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
池田 善久 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (00735318)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トンネル照明 / 高速道路 / 視認性 / プロビーム / 輝度比 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究成果の概要: 1年目の研究計画である、ダイナミックに変化する照明環境化の動的総視認率(Dynamic Total Revealing Power: DTRP)評価式を確立するため、視認性評価用の1/24スケール高速道路トンネル模型を作製し、被験者による視認性評価を実施した。視認性評価はトンネル内100 m先にある20 cm角の指標を落下物に模して行われた。視認性は0点(見えない)から4点(よく見える)までの5段階で9人の被験者が採点し、その平均値を視認性評価点とした。ダイナミック制御(時間+配光)条件の最適化の研究実績は、以下の通り。 1-1 配光制御のみ適用した場合:視認性と各種光学パラメータ(指標輝度、背景路面輝度、水平面照度、鉛直面照度、等価光幕輝度)の関係性を評価した。視認性を目的変数、光学パラメータを説明変数とし重回帰分析を行った結果、多重共線性を考慮すると、最も決定係数が高くなる説明変数の組み合わせは、指標輝度と背景路面輝度との輝度比と、水平面照度が選ばれた。そして視認性の大部分は輝度比によって決定されることが明らかとなった。 1-2 時間制御のみ適用した場合: LEDの点灯周波数のDuty比を変えて視認性と周波数との関係性を評価した。結果した結果、被験者がフリッカーを感じない下限の周波数である50kHzが最も視認性が高くなり、周波数が60Hz以上では直流点灯と同程度まで視認性が低下した。50Hz、60Hzの周波数域では人の明るさ知覚を向上させるBroca-Sulzer効果が知られており、知覚輝度の向上が視認性向上に寄与している可能性がある。Duty比については、視認性に対し依存性は確認されなかった。 2 対外発表: 論文2件、国際会議2件、国内学会2件、の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目のダイナミック制御(時間+配光)条件最適化について、配光制御のみの場合、被験者の視認性評価結果の平均値を目的変数に、光学パラメータ(指標輝度、背景路面輝度、水平面照度、鉛直面照度、等価光幕輝度)の測定値を説明変数として重回帰分析を行った結果、回帰式の導出に成功した。時間制御のみの場合については、視認性の評価結果は、50KHzが最も視認性が高く、周波数が高くなるにつれて直流点灯時と同程度まで低下した。この結果についてのメカニズム解明には、至っておらず、時間制御に関する数式化が今後の課題として残った。 以上より、視認性の数式化については一定の成果を上げており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究計画では、①時間と配光制御を組み合わせた場合の視認性評価式の検討と、②色と配光制御を組み合わせた場合の条件最適化、③観測者が移動する場合の模型を用いた被験者実験環境の確立を実施する。各テーマの推進方策は以下の通り。 ①時間制御の効果は、知覚輝度の向上であると考えられるため、周波数毎の知覚輝度の上昇割合を求め、直流点灯時の視認性と水平面照度の関係式に、周波数と知覚輝度の上昇率を水平面照度の式に組み込み、時間制御による視認性向上効果を数式化させる。 ②対称照明とプロビーム照明で異なる色温度のLEDを用いて、水平面と鉛直面との間で色差を生じさせる。視認性について背景路面と指標の色差を説明変数に加え、重回帰分析を行うことで、色の影響を明らかにする。 ③観測者が移動する場合の模型を用いた被験者実験について、計画通り準備を行う。本評価に鍵は、360度カメラによる画像をVRで評価可能であるか、である。そのため、予備的に次の2つの実験を行う。1つはトンネル内の指標の視認性評価を、トンネル内の写真とVRによって行い、被験者が実際に視認した場合と同じ結果になるかの比較を行う。もう1つは、高速道路模型を作製し、VRによる高速道路走行評価が可能かを確認する。この2つの予備実験を行い、VRによる評価方法を確立したのち、観測者が移動する場合のトンネル模型を用いた被験者実験を実施する。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況: 2年目の研究計画である、観測者が移動する場合の模型を用いた被験者実験に用いる高速道路トンネル模型と、VRデバイスシステムについて、1年目に準備し、予備評価を実施する予定であったが、当初予定していた仕様のVRの販売が2019年度になったこと、またそれにより予定していた観測者が移動する場合の評価用模型の作製も延期したことより、これらの費用を次年度に予算を繰り越した。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:観測者が移動する場合の評価用模型の作製費用、360度カメラ、VRデバイスシステムなどの購入費として使用する。
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Research Products
(6 results)