2018 Fiscal Year Research-status Report
画像解析によるポリゴンメッシュモデルを用いた事故時の車体変形量評価手法の開発
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18K13961
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Research Institution | Suwa University of Science |
Principal Investigator |
國行 浩史 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 准教授 (30804223)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 交通事故分析 / 車体変形計測 / 乗員傷害予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成30年度は第1ステップにて計画していた検討項目として、簡易モデルを用いた実験による3次元モデル化に必要となる画像撮影、分析手法に関して以下の基礎検討を完了した。また、最終的に衝突時の状況から自動車乗員の傷害を関係付けるために交通事故データベースによる衝突時の車体変形と乗員傷害の状況について以下の分析を開始した。 (1)一辺300㎜程度の立体形状を製作し、複数組み合わせることで衝突時の車体変形を簡易的に模擬した凹凸部のある簡易モデルを作成した。 (2)簡易モデルに対してSfM(Structure from Motion)手法による3次元モデル化を行うため、カメラによる画像撮影手法、分析手法を検討した。その結果、対象モデルを中心とした円周上から撮影高さを変える撮影にて約3%の精度で形状を計測できることがわかった。ただし、撮影時に陰となる部分の形状把握には限界があり、推測値も考慮して今後検討していく。 (3)実車を用いた先行トライアル撮影実験、分析を実施し、課題の抽出を図った。その結果、パソコンレベルでは画像表示が遅く、処理時間が掛かることがわかった。次年度の実施計画を一部見直し、処理能力の高いワークステーション導入の優先度を高めて改善を図る。 (4)米国の交通事故データベースNASS-CDS(米国運輸省道路交通安全局提供)を用いて側面衝突事故時の自動車の車体変形と乗員の傷害状況の分析を開始した。車両側面の最大車体変形量と乗員の傷害(解剖学的重症度スケールAISの最大値)には概ね関係性が見られるが、相関から外れている事故事例も見られた。次年度、継続して詳細に調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた以下の主要項目に関してすべて着手でき、ほぼ計画通りに遂行できているため。 ①実車変形を模擬した簡易モデルの作成、②簡易モデルによる計測実験の遂行、③簡易モデルの3次元モデル化手法の構築、④車体変形量と乗員傷害との関係分析 ただし、3次元モデル化の分析時間は、当初想定より解析時間が大きく見込まれ、今後の研究遅れが懸念されるため、導入を計画していたワークステーションの処理能力を大きく向上させる仕様に見直し、早期に導入する計画に見直して遅れ防止を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、前年度に確立した画像計測手法を用いて、実車模型を用いた計測実験および事前に変形させた実車のドアパネル単体を用いた計測実験を行い、より実車に近い条件における手法検証、改善を進める。その際、変更点としてワークステーションの導入を早め、解析処理時間の大幅短縮を図る。また、各実験は、連携者の協力を受けることで効率的に進められるようにする。具体的には以下の項目を検討する。 (a)実践的な実験を効率的に進められるように新たに実車模型等を用いた実験を追加し、ポリゴンメッシュモデルから車体変形位置・変形量を評価する手法を検討する。(b)実車のドアパネル単体を用いた計測実験を行う。ドアパネルは事故による変形を代表できるように事前に与えておく。 (c) 前年度に継続して米国の交通事故データベースNASS-CDSを用いて側面衝突事故時の車両側面の最大車体変形量と乗員の傷害の関係を詳細に調査する。 令和2年度は、前年度までに確立した車体変形の定量評価法を用いて、実際の車両を用いた計測実験を行い、本計測手法の適用範囲を確認する。具体的には以下の項目を検討する。 (a)これまでの検討から最終的な車体変形の定量的評価手法を確立する。(b)ドアパネル(衝突変形相当)を変形させた実車の計測実験を行い、本手法の適用範囲、測定精度を確認する。(c)確立した車体変形情報を基にした乗員傷害予測手法を確立する。事故データベースを用いて従来型の予測因子に車体変形情報因子を加えたロジスティック回帰分析を用い、傷害予測手法の有効性を検証する。さらに得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
解析処理能力の現状課題を受けて、次年度に高性能ワークステーションを優先的に導入することに見直ししたため。 次年度の仕様計画は請求助成金額と合わせて以下である。 (1)ワークステーション:1,600,000円、(2)実車ドアパネル等:180,000円、(3)実験機材輸送費:100,000円、(4)出張費:160,000円、合計(直接経費):2,040,000円
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