2020 Fiscal Year Research-status Report
様々な情報源から得られるヘテロデータのマルチモーダル学習による地震被害分布の推定
Project/Area Number |
18K13966
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮本 崇 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30637989)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地震被害検知 / AI / 衛星画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
多時期に渡る衛星画像を元に,地震によって異常の生じた箇所を検出する手法として,3次元畳み込みニューラルネットワークを適用した.また,衛星画像と構造物情報という異なるモードの情報を統合して被害有無を判断する手法として,マルチモーダルニューラルネットワークモデルを設計し,衛星画像単体による被害有無の判断よりも精度が大きく向上する結果を得た.また,研究成果を元に複数の都道府県や内閣府の防災担当者に対するヒアリングを行い,解析結果の可視化などに関する意見交換を行った. また,本研究を通して得られた,防災上の問題に対する機械学習手法の応用に関する知見を体系的に整理し,国内外の事例に関するレビューを行いながら論文として公表を行った.同論文では,本研究のような被災状況の把握や災害事象の予測といった課題において,データの不均衡性,機械学習モデルの説明性,データのない領域での外挿的予測性能の向上,の3点の克服が重要であることを指摘し,これらに対応する情報学的手法の整理を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元畳み込み構造とマルチモーダル学習の2つの構造を統合した深層学習モデルによって,住宅の倒壊・非倒壊の判別精度を約90%まで向上させる結果が得られた.判別に失敗した10%のデータの分析からは,住宅の傾きや1階部分のみの破壊など,直上からの撮影では把握の困難な破壊形態が半数以上を占めていることが分かった.このことから,本研究で開発したモデルは上空からの衛星画像から判別可能な住宅の倒壊を十分に把握する性能を有していると結論付けた.これらの結果から,研究は計画に沿っておおむね順調していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
衛星画像に付加する情報として,更に地震動指標を加えることを試みる.建物1棟単位での地震動指標を得るために,地震動の観測データから高精度に地震動指標を内挿する手法を開発し,既開発の手法と統合する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた旅費の執行がなくなったため,次年度の物品費や旅費へと使用する予定である.
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