2021 Fiscal Year Research-status Report
様々な情報源から得られるヘテロデータのマルチモーダル学習による地震被害分布の推定
Project/Area Number |
18K13966
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮本 崇 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30637989)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地震被害判別 / 深層学習 / マルチモーダル学習 / 都市ビッグデータ / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
地震被災地を撮影した衛星画像と個々の構造物情報を統合的に分析・解釈する機械学習モデルを用いて,地震時住宅倒壊・非倒壊を判別するモデルを構築した.具体的な手法として,主に情報学分野で用いられているマルチモーダル機械学習と称される深層学習モデルを応用し,震災前後の衛星画像ペア・構造物の築年代・構造物の建設材料という3種の情報から構造物ごとの倒壊・非倒壊を判別するモデルを提案した.提案モデルによって約90%という高い判別精度を達成した.また,判別に失敗した10%のデータの分析から,判別を誤ったものは住宅の傾きや1階部分のみの破壊など,直上からの撮影では把握の困難な破壊形態が半数を占めていることを明らかにした.このことから,提案手法は上空からの衛星画像から判別可能な住宅被害を十分に把握する性能を有していると結論付けると共に,そのような詳細な被害形態を把握するためには異なる情報源を統合する必要があることを今後の課題として位置付けた.更なる情報源の統合手法として,物理シミュレーションから得られる構造物の破壊確率を機械学習モデルによるの衛星画像分析結果によってベイズ更新する手法を新たに定式化し,その基礎検討を行った. また,本研究のように防災上の問題に対して機械学習手法を応用する場合,データの不均衡性,機械学習モデルの説明性,データのない領域での外挿的予測性能の向上,の3点の克服が重要であることを前年度に指摘した.こうした課題に対処するためのアプローチとして,物理的知見とデータ科学的知見を連携・統合した解析技術の重要性を論じ,具体的な技術に関する国際的な研究動向について調査を行いレビュー論文として取りまとめを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
複数の情報源を統合する手法として,物理シミュレーションから得られる構造物の破壊確率を機械学習モデルによる衛星画像分析結果によってベイズ更新する手法を新たに定式化した.ベイズモデルの利用は当初計画に無いものであったが,研究の進捗によって着想に至ったものであり,その有効性についても基礎検討で確認されたため,当初の計画以上の進展が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
物理シミュレーションによる被害確率推定と機械学習判別モデルによる被害判別結果を統合するベイズモデルについて,検証のためのデータセットの構築と解析的検討を行い,有効性と限界について検証を行っていく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により一部旅費の未執行が生じたことから,次年度における研究成果の更なる精緻化と成果報告に執行する.
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