2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲリラ豪雨時の流木閉塞による氾濫被害予測と科学的知見に基づく流木対策工法の提案
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18K13968
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 隆明 京都大学, 工学研究科, 助教 (70599612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 流木集積 / 迂回流 / 流木衝突力 / 家屋破壊 / 蛇行河川 / 捕捉工 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 豪雨時に流出した流木は河道を閉塞させるだけではなく,H29九州豪雨時のように家屋に衝突することで家屋被害を拡大する.本研究では流木による家屋被害の拡大について調べるために,まず河道閉塞時の氾濫流の流速をPIV計測した(水平面PIV, 鉛直面PIV).次に河道閉塞時に越流した氾濫流により流木がどのような速度で流されるか調べるために,上流側から投入した流木を水路上方から高速カメラで撮影し,流木の移流速度の水へ麺分布を算出した. さらに家屋模型に流木を衝突させて,流木衝突力をデジタルフォースゲージを用いて計測した.実験結果から橋梁部より少し下流側で衝突力は大きくなり,流木衝突により家屋被害拡大することがわかった.また既往の漂流物の衝突力の算定式と比較し良好な一致を得た. 流木衝突力に関する研究成果はまとめて論文として投稿する. (2) 蛇行河川での流木捕捉工に関する研究では蛇行水路に流木を投入して流れに対する追随性について調べた.蛇行部での流木の挙動は水路上方のカメラで計測し,蛇行部での複数の領域に分割し領域ごとの流木の通過本数の分布を評価した.さらに蛇行水路の流速は電磁流速計で計測し,流速の大きな領域ほど流木の通過本数が大きくなることがわかった.この蛇行部での外岸への流木の誘導効果は流量が大きいケースほど顕著にみられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,水平面PIVと鉛直面PIVの両方を用いて河道閉塞時の氾濫原全域の氾濫流速をPIV計測し,氾濫流速の水平面分布を得ることができた. 次に河道閉塞時の流木をカメラで撮影し,流木の移流速度を算出することができた.氾濫流速と流木の移流速度を比較して流木の流れに対する追随性を評価した. 高精度のフォースゲージを用いて,流木の家屋への衝突力の時系列データを計測し,衝突力を正確に計測できた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では蛇行水路の外側に捕捉池を設けて投入実験を行い,捕捉工の開口部の位置,側壁の透過度,形状を系統的に変化させて流木捕捉率を調べる.流木挙動は高速カメラで撮影する.蛇行部での流速はPIV計測する. 橋梁部での流木集積過程についても調べる.Frが大きなケースでは水面付近だけではなく,底面側でも流木が捕捉されるがメカニズムは解明されていない.流木の比重,長さ,Frを系統的に変化させて橋梁部での流木の3次元的な集積過程を明らかにする.
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Causes of Carryover |
流木衝突力の計測に使うフォースゲージが当初想定していたものよりも安かったため,次年度使用額が生じた. 次年度には新しく蛇行河川と捕捉池模型を作成するための費用として使用する
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Research Products
(5 results)