2019 Fiscal Year Research-status Report
不安定な施設状況から多様な群集を避難させるためのIoTによる誘導システムの提案
Project/Area Number |
18K13973
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
伊藤 尚 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (30635214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マルチエージェントシミュレーション / 自己駆動粒子 / 避難行動シミュレーション / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の教訓から,刻一刻と被災状況が変化する不特定多数が集まる大型施設内から災害弱者を含んだ群集を効率的に避難させる対策の重要性が指摘されている.そこで本研究ではコンピュータシミュレーションをベースとして,①被災により施設状況が変化する場合における,人手による車椅子利用者を含んだ群集の避難誘導の定量化,②IoTソリューションによる避難誘導システムの有効性の検証とアクセスポイントのセル設計,③実機による提案システムの実証を行う.これらを通して,被災状況が変化する施設におけるIoTソリューションを用いた避難誘導システムの有効性と実現可能性を示す. 本年度は,(1)縮退型自己駆動粒子による避難シミュレーションへのSocial Forceモデルの導入,(2)IoTソリューションによる屋内避難誘導システムの検討,(3)避難シミュレーションを用いた大型商業施設におけるIoT屋内誘導システムの評価を実施した.(1)では,Social Forceモデルおよびパーソナルエリアの縮退を考慮した自己駆動粒子として避難者を表現することの両方を取り入れることで,避難シミュレーションモデルの振舞いがより実現象に近くなることを示した.(2)では,分散センサネットワークにより建物館内の被災情報を把握できる可能性を示した.さらに,スマートフォンにその情報を送信可能であることを確認した.(3)では,大型商業施設を模した仮想空間を構築しシミュレーション上で(2)のシステムの有効性を評価した.これにより,(2)のシステムを導入することで避難時間が有意に改善されることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に実施予定だった実機によるシステムの実証を令和元年度から着手したことで,概ねの見通しが立っている.しかし,平成30年度からの進捗の遅れにより,シミュレーションにおいて火災や煙,建物の倒壊が表現出来ていない.そのため進捗状況区分を「(3)やや遅れている。」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
狭小施設および大型施設における健常者の避難行動モデルは妥当性の検証も含めて概ね完了している.また,IoTソリューションによる避難誘導システムの有効性についても既に検証済みである.加えて,IoTソリューションによる避難誘導システムの実機による制作にも着手している.そのため,(1)車いす避難者,火災,煙,建物の倒壊を含めたシミュレーションモデルの構築,(2)IoTソリューションによる避難誘導システムのセル設計,(3)実機における避難経路の自動算出とスマートフォンへの送信,以上を並行して実施可能である.
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