2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of Ionic Conduction in Carbonate Apatite by First-principles Calculations
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18K13998
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
設樂 一希 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (40756805)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / 炭酸アパタイト / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギーや環境問題解決のため,固体酸化物燃料電池(SOFC)は重要な役割を果たす.SOFCに用いられる固体電解質には高いイオン伝導性が必要である.そのような中で,ハイドロキシアパタイトに炭酸イオンを一部置換した炭酸アパタイトは高い酸化物イオン伝導を示す. 本年度は,前年度に実施したNa添加炭酸アパタイトの移動エネルギーの算出を行った.分子動力学計算の結果に基づいて複数の初期欠陥構造を作成し,構造最適化を行った.得られた構造から拡散パスを構築し,長距離拡散の移動エネルギーを算出した結果,1.33 eVとなった.この値は実験値と近く,今回想定した炭酸置換により生じた空隙を利用した拡散パスがイオン伝導に寄与していることが示唆される. また,K添加炭酸アパタイトについて,欠陥構造の探索およびイオン伝導機構の検討を行った.ハイドロキシアパタイトの1×1×2スーパーセルを作成し,Kと炭酸の配置について網羅的な第一原理計算を行った結果,Kと炭酸はアパタイト中で会合しており,その会合エネルギーは0.13 eVであった.また,リン酸の四面体中の面の1つを炭酸が置換することで,リン酸中の酸素サイトに空隙が存在することがわかった. 上述のようにして得られた構造を基に初期構造を作成して第一原理分子動力学を実施した.第一原理分子動力学中に酸化物イオンの長距離拡散は見られなかったが,各原子の軌跡を解析した結果,c軸上に並んだ水酸化物イオンが炭酸イオン置換により生成した空隙位置に移動していることがわかった.また,それに 伴ってその他の水酸化物イオンがc軸上に広く分布しており,無添加ハイドロキシアパタイトの第一原理分子動力学計算結果と比較しても,広い領域に酸化物イオンが分布していることがわかった.これらの水酸化物イオンの移動および分布の広がりが,アパタイト中でのイオン伝導に寄与していることが示唆された.
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Research Products
(2 results)