2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation and high functionalization of La doped SrTiO3/conductive nitrides nano composites
Project/Area Number |
18K14004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 厚介 九州大学, グリーンテクノロジー研究教育センター, 助教 (40617007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ複合体 / 導電性窒化物 / 酸化物 / フォノン散乱 / 熱電変換材料 / コアシェル構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、導電性窒化物マトリックス中にSrTiO3(STO)系ナノ粒子を分散させたナノ複合体(ナノコンポジット)を創製し、熱電性能に最適な複合構造を見出すことを目的としている。2018年度はTiNとSTOの体積分率を変え、その微細構造と熱電特性について検討した。 STOナノ粒子上にTiO2を被覆し、TiO2シェルのみを窒化させることによりSTO/TiNコアシェル構造ナノ粒子を合成した。その後、放電プラズマ焼結(SPS)法を用いて焼結させナノコンポジットを得た。被覆時のシェルの膜厚を変えることによりナノコンポジットにおけるTiNの体積分率を0~76%まで制御し、熱・電気輸送特性と体積分率の関係を調べた。特にTiN 76%の焼結中のSTOの結晶子径は52 nmであり、STOナノ粒子とほぼ同等のサイズを維持していることが確認され、粒成長の抑制に成功した。ただし、TiN 52%以下では焼結体中のSTOナノ粒子の分散性が低く、より分散させるためのTiN被覆方法を新たに検討している段階である。 700 ℃における導電率は、TiNの体積分率の増加に伴い1.9×10-4 S/cm (TiN 0%)から3.9×103 S/cm (TiN 76%)まで7桁向上した。そのため、Wiedemann-Franz則から算出した電子熱伝導率は大幅に増大した。一方、格子熱伝導率はTiN0%試料の3.2 Wm-1K-1からわずかに増加した後、TiN 76%試料では1.8 Wm-1K-1まで低減できた。これは焼結体中のSTOナノ粒子の分散性の違いによる粒成長抑制(つまり微細化)によりフォノン散乱が増強したためと結論づけられた。 また、STOナノ粒子のサイズを低減するため、STOおよびLaドープSTOナノ粒子を水熱合成法により合成し、粒径10 nm程度のナノ粒子を得、ナノ複合体の合成を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrTiO3ナノ粒子と被覆するTiNの体積分率をナノ粒子の段階で制御可能となり、その焼結体を得ることに成功した。また、マクロな電気・熱輸送特性を評価し、特にSrTiO3ナノ粒子が分散した焼結体では、格子熱伝導率がSrTiO3焼結体と比べて40%低減できることが確認された。 ただし、TiNの体積分率の増大は電子熱伝導率の増大を引き起こすため、最適な構造を得るためには、TiNの体積分率を低く抑えかつナノ構造を維持する必要がある。2018年度の後半では新たに体積分率を低く抑えたコアシェル構造ナノ粒子の合成に着手し、TiN膜厚10 nm以下のコアシェル構造ナノ粒子を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度はまず、コアシェル構造ナノ粒子の合成スケールアップを実施する。次に、コア粒子を市販のSrTiO3ナノ粒子(粒径30 nm程度)から、水熱合成法により合成したLaドープSrTiO3ナノ粒子(粒径10 nm程度)へ変更することにより焼結体中のナノ構造をさらに微細にし、熱・電気輸送特性を詳細に検討することで熱電性能に最適な複合構造を見出す。得られた最適構造のナノ複合体について、熱的安定性(使用可能な温度域)を原子レベルで評価する。
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