2018 Fiscal Year Research-status Report
Structure Analysis and Design of New Materials for Electrolyte in Fuel Cells Performed at Intermediate Temperature Range
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18K14014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
韓 東麟 京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (40727567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プロトン / 電気伝導度 / 電解質 / 燃料電池 / 異常分散効果 / パイロクロア構造 / 蛍石構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、La2(Nb, Y)2O7-δ (LNY) の結晶構造の解明及び電気伝導度の向上は主要な研究目的である。五価の Nb と三価の Y 陽イオンは同じ電子配置を有するため、X 線に対する散乱因子は非常に近い。従って、Cu Kα などの実験室レベルの X 線を使って回折パターンを測定及び解析しても、Nb と Y のサイト分配性を精確に決めることができない。そこで、放射光実験施設にて、Y K 端近傍の X 線を利用して XRD パターンの測定を実施した。その特殊なエネルギーを有する X 線を使うことにより、異常分散効果を起こし、Y と Nb の散乱因子の差を広げた。そのため、Y と Nb のサイト分配性を精度よく決めることに成功した。 また、LNY のプロトン伝導度の向上に努力した。酸化物中のプロトンは、水分子は酸素空孔に溶け込むことにより導入されるため、プロトン濃度は酸素空孔濃度に大きく依存する。一方、LNY を構成した陽イオンをより低い酸化状態のドーパントで置換すると、電荷補償のために、酸素空孔が生成する。そこで、酸素空孔濃度を向上するために、まず、三価の La を二価の Ca, Sr, Ba で置換することを試みた。その結果、Ba と比べ、Ca と Sr は比較的高い濃度で La サイトに固溶することが分かった。また、LNY の伝導度は、それらのドーパントの濃度が増えることに従って、高くなる傾向があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の目標である、放射光実験施設に異常分散効果を利用した XRD パターンの測定及び解析による LNY の結晶構造の解明、及び La サイトに Ca, Sr, Ba のドープによる LNY の電気伝導度への影響の調査を順調に実施したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) XRD パターンの測定結果から平均化した結晶構造の情報しか得られない。一方、結晶構造中の各サイト、あるいは各陽イオン種によるプロトンの導入、及びプロトン伝導度への影響を調査するために、局所の結晶構造の情報が不可欠である。そこで、放射光施設にて、XAFS 実験の申請及び実施を行う予定である。 (2) 酸素空孔濃度を増加するために、五価の Nb と三価の Y を酸化状態のより低いドーパントで置換することも有効な手法であるため、Nb と Y を置換した試料を作製し、伝導度などの物性を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、比較的物品の消耗が少なく実験できたため、それらの購入費用を安く抑えることができた。また、当初参加する予定であった米国に開催する SSPC-19 国際会議は、研究のスケジュール上の都合により、参加できなかったため、旅費の使用額が低くなり、次年度使用額が発生した。
平成30年度に生じた次年度使用額及び平成31年度分として請求した助成金は、当初の予定通り、放射光施設での実験、高純度試薬やガスの購入、固体イオニクス討論会をはじめとする成果発表のための旅費に使用する予定である。
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