2018 Fiscal Year Research-status Report
超塑性複合材料における応力と組織学的因子の動的相関の解明
Project/Area Number |
18K14022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
徳永 透子 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30767299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超塑性変形 / 複合材料 / マグネシウム合金 / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超塑性/非超塑性の組み合わせの複合材料において、超塑性変形中の粒界近傍における応力状態と粒界を構成する個々の結晶粒の組織学的因子(結晶粒径、形態、方位)の動的相関を明らかにすることを試みた。本年度は、複合材料として純Al/Mg合金クラッド材を用い、温度とひずみ速度を細かく変化させて、引張試験を行うことで超塑性変形中の変形挙動を明らかにした。特に、純Al被覆の変形挙動に着目し、純Alのみの引張試験も同条件で行った。単独での変形挙動と複合化した際の変形挙動を比較することで、超塑性材であるMg合金基材が非超塑性材であるAl被覆に及ぼす影響を明らかにすることを狙った。 計画に挙げていた有限要素解析に関しては、超塑性材料の構成方程式をシミュレーションに適応させる作業が難航している。そのため、微小領域の変形を追跡するための手法として、画像相関(Digital Image Correlation, DIC)解析を用いた。DIC解析は横浜国立大学(現 金沢大学)の古賀紀光助教の協力を得て行った。DIC解析では試料の変形前後の組織写真において、特徴的なパターンを変形前後で追跡することで、ひずみの算出を行うことができる。純Alには析出物等がないため特徴的なパターンが少なく、研磨したままの状態ではDIC解析が困難であるため、イオン集積ビーム(Focused Ion Beam, FIB)を用いて予め変形前の試料に格子模様を作成し、その格子模様を追跡することでDIC解析を行った。その結果、Mg合金基材部においては、板厚中心部ではひずみが引張方向に対して45度方向に分布している一般的な傾向が見られた。一方、Mg/Al界面近傍におけるMg合金では、やや不均一なひずみ分布が見られた。また、板厚方向のひずみは界面に集中している傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に挙げていた有限要素解析に関して、超塑性材料の構成方程式をシミュレーションに適応させる作業が難航しているため、進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
超塑性変形中の複合材料に関して、組織学的因子のEBSD解析による調査を引き続き行い、マルチスケールモデリング結果が得られた際に実験結果とモデリング結果の比較を行い、変形メカニズムの考察を行う。また、DIC解析による画像解析をさらに進め、Al部での微視的な変形を様々なひずみにおいて調査する。超塑性変形初期、中期、最終部それぞれにおいてAl被覆部、Mg合金部(板厚中心、界面近傍)それぞれでの変形挙動を明らかにする。さらに、研究協力者のLukasz Madej教授(ポーランド・AGH科学技術大学)と引き続き連携し、超塑性材料の構成方程式の適用を進め、有限要素解析および微細組織のマルチスケールモデリングを行う。
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Causes of Carryover |
組織学的因子の調査のためのEBSD解析およびSEMおよびTEMの利用時間が計画よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度以降に本年度行わなかった分の解析・観察を行うことを計画している。
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