2018 Fiscal Year Research-status Report
simultaneous control of shape and microstructure to achieve the high-value-added manufacturing of magnesium alloy products
Project/Area Number |
18K14025
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小貫 祐介 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携助教 (50746998)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | マグネシウム合金 / 中性子回折 / 塑性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は対象材料であるAZX612マグネシウム合金の基礎的な力学挙動の調査と中性子回折実験の可能性の検証を行った。当該合金はマグネシウム合金としては非常に優れた約30%の全伸びを生じるが、その一方で破断の形態は従来合金AZ31と類似した、せん断型の破壊を呈すことが確認できた。 一般に金属材料は高強度化を指向した合金化を行うと延性が犠牲になるものであるが、AZ31に比べて高アルミニウム濃度で、かつカルシウムの添加がなされているAZX612が優れた延性を示すメカニズムの探求は、本研究において重要な要素であり、継続して調査を行っていきたい。 中性子回折に関しては、まずは基本的な室温での単軸引張試験中その場観察実験を試みた。実験は成功しているが、解析が未だ途上であり、残念ながら今のところ結果を報告できる段階ではない。一方で高温でのその場観察実験環境が完成しつつあり、目的の一つである組織形成と力学的挙動の変形条件依存性の調査に着手できる状態にこぎつけた。 文献調査の結果、高いランクフォード値を示すマグネシウム合金の成形性指標としては、エリクセン値などの深絞り指標よりも曲げ性の指標(例えば最小曲げ半径)が最も意味のあるパラメーターのようである。このため成形試験として、90度曲げ変形を行うことのできる金型を現在設計している。 計算シミュレーションについては、どの程度のスケールでのシミュレーションが最も意味のあるものになるか、現在検討中である。結晶方位を加味したCP-FEMを用いるべきであるか、それとも変形条件依存性を持つが各制御点の性質は一様とみなし、結晶粒単位よりもやや大きなスケールでのモデリングを行うかの2通りが候補である。前者は変形メカニズム研究として大きな意義があるが、後者はより実用的な、試作工程削減のための技術開発として有益であると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他業務、主として中性子回折装置の運用・ユーザーサポート業務が想定以上に多忙を極め、本研究へ十分注力できなかった点が原因として挙げられる。その反面、これまで鉄鋼が主体であった中性子回折の適用範囲が非鉄金属の研究にも拡大しつつある状況が生まれており、本研究にもシナジーを及ぼす環境が得られつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
継続的な基礎的知見の蓄積が最優先課題である。研究計画にあるように、シミュレーションモデルの構築、実際の成形での検証へ段階的に研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
2018年度に予定したEBSD用引張試験機の修繕・改良に着手できなかったためその分の予算を持ち越すことになった。他業務との兼ね合いから中性子回折によるその場観察環境の構築を優先せざるを得なかった。両実験の比較は本研究のなかでも重要な要素の一つであるから、2019年度には改修を実施する。
|
Research Products
(1 results)