2018 Fiscal Year Research-status Report
Atomically flat planarization of Ir thin films for larger diameter single crystalline diamond growth
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18K14026
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
會田 英雄 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10811648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 原子オーダープラナリゼーション / ダイヤモンド / イリジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
究極半導体ダイヤモンドデバイスの早期実用化に貢献するため、ダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長プロセスを可能とする下地基板構造開発が喫緊の課題である。本研究では、MgO基板へのIr薄膜成長工程、Ir薄膜の超精密平坦化加工工程、Ir薄膜とSi基板の接合工程を核とする大口径ヘテロエピタキシャルダイヤモンドの革新的成長手法を提案している。本提案プロセスの実現に向けた第一の主要課題のブレークスルーに主眼を置き、MgO基板上に成膜した極薄Ir膜(1μm以下)の極微少量プラナリゼーションCMP加工技術の開発に着手し、磁気浮上機構搭載型研磨加工機を設計試作した。磁気制御により加工圧力を調整しながらの研磨加工を実現したことから、無荷重状態でのIr薄膜の極微少研磨加工の実現が視野に入ってきた。現在は装置設計計画の最終段階として、加工制御に要する磁気浮上力の定量化や浮上研磨ユニットのブレ変位の評価に向けた準備を進める段階に入っている。一連ユニットを一括制御システムとして現有卓上研磨加工機に組込み、研磨加工機を完成させる準備も進んでいる。本研究の最終的なゴールが、研磨後のIr薄膜のSi基板への接合転写を通じてダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長に最適な原子平坦Ir薄膜/Si基板構造の製作を目指すことにあることから、Ir薄膜とSi基板との接合技術開発も並行して着手し、接合プロセスを達成した。これにより、設計試作中の磁気浮上研磨装置によるMgO、Irの微小除去制御研磨を組合せための準備が整い、次年度においてゴールとなるIr薄膜/Si基板構造の試作を開始できる状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型ダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長実現に向け、(1)MgO基板へのIr薄膜成長工程、(2)Ir薄膜の超精密平坦化加工工程、および(3)Ir薄膜とSi基板の接合工程により構成される新しいプロセスを提案している。そのため、今年度はこれらの技術を個別に具体的に検討した。(1)MgO基板へのIr薄膜成長においては、接合強度を保つためできる限り平坦な薄膜成長が望まれることから、成膜プロセスの改善を行い、表面粗さ1nm以下の成膜表面を達成した。(2)では、薄膜の微小除去を達成するために無荷重状態での極微少研磨加工を検討し、そのキーとなる磁気浮上機構を搭載する研磨機の試作設計を行った。その結果、磁気力により研磨時の加工負荷を調整できることを実証し、当該基板構造を達成するための研磨加工検討の開始にこぎつけた。(3)ではIr薄膜とSi基板との接合プロセスを検討し、その後のプロセスに耐えうる接合強度を達成するための接合条件を見出した。 以上のことから、目的とするエピタキシャルレディIr薄膜/Si基板構造のための個別要素技術がおおむね整った。次年度において予定通りにIr薄膜/Si基板構造の試作検討を開始できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
大型ダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長実現に向け、(1)MgO基板へのIr薄膜成長工程、(2)Ir薄膜の超精密平坦化加工工程、および(3)Ir薄膜とSi基板の接合工程について個別要素を検討してきた。今後はまず(2)を完成させる。これまでに完成している磁気浮上機構を、実際の研磨機に搭載する。さらにその動きを一括制御するシステムを構築し研磨加工機を完了させ、完成した研磨加工機によりIr薄膜の微小除去研磨加工を実証する。これらを第1四半期中に実施する。さらに、これまでに並行して開発を進めた(1)および(3)の技術と組み合わせることで、本研究が最終的にゴールとするダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長に最適な原子平坦Ir薄膜/Si基板構造の製作の実証を第2、第3四半期中に行う。第4四半期には、得られた基板上に実際にダイヤモンド成長を試み、その効果の検証までを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度実施予定とした磁気浮上機構の試作設計が順調に進捗し、全体計画としてもおおむね良好の進行状況にある。最終的には、設計した磁気浮上研磨機構を一括制御システムとして現有卓上研磨加工機に組込む計画にあった。しかし研磨加工機として完成させる最終仕様の決定段階において、次年度以降に計画していた事項を前倒して事前に実施する必要性が生じた。具体的には、Ir薄膜とSi基板接合強度に関する問題であり、その結果をもって最終仕様の決定にあたったことから、今年度末に予定した研磨加工機の完成が次年度へと1か月ほど遅れが生じ、当初予算計画と若干の差異が生じた。なおIr薄膜とSi基板接合強度はもともと次年度に予定していた内容を前倒して実施したわけであり、全体の計画には支障は生じない。また、学会等での成果報告を予定していたが、特許性を有する成果が得られつつある状況を鑑み、成果公表を一部翌年度へ見送り、これに伴い研究旅費の次年度繰り越しが生じた。
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Research Products
(2 results)