2020 Fiscal Year Research-status Report
金属ホウ化物中間相を利用した粉末冶金的手法による熱電ホウ素化合物の開発
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18K14030
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
丸山 恵史 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (40780573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホウ素系複合材料 / 粉末冶金法 / 熱電発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、反応ホウ化焼結法を利用した粉末冶金的手法を通してホウ素系材料を作製し、中間相導入に伴う試料の高密度化を通して、金属-ホウ素間の共晶現象や中間相を利用した材料相組織構造制御および熱電特性の高性能化に取り組んでいる。本年度は金属-ホウ素元素の共晶現象に伴う微細組織化と相・組織形成過程の精査を行うとともに、各種熱電特性の評価を通して、金属添加に伴う熱電特性への影響を結晶学的ならびに微細組織の視点から検討した。また、金属ホウ化物中間相導入に伴う熱電発電出力への影響を調査した。 金属を添加した炭化ホウ素において、炭化ホウ素が液相中へ溶出する系は、熱電特性も金属相との複合化のため、金属相の増加に伴い電気伝導率が増加し、ゼーベック係数が低下する挙動であったが、金属相がホウ素側へ拡散する系においては、金属添加量の増加に伴い、ゼーベック係数の増加がみられた。増加の物理描像は未解明であるが、結晶構造解析等を通して、金属元素の構造内へのドーピングが示唆されており、今後は第一原理計算等も含めて精査していく。 また、熱伝導率の測定も実施した結果、金属ー炭化ホウ素間の反応挙動の違いに伴い、熱伝導率に差が生じた。これは添加する金属種により相・組織形成過程が異なるためであるが、中間相導入に伴い、熱伝導率も制御可能であることが示唆されている。また、金属-ホウ素間の反応挙動を利用した微細組織形成が可能であることが明らかになってきた。 熱電発電出力試験に加え、I-V試験等を実施し、熱電材料と電極との電気的接触状態の調査を行った。その結果、金属ホウ化物の導入に伴い、接触抵抗が低下するだけでなく、ショットキー的な接触からオーミックな接触への変化が見られた。 以上より、中間相導入に伴い、材料本質の性能向上があるだけではなく、電極との接触状態も改善し、デバイスとしての熱電発電性能の向上が見られている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症に伴う移動制限ならびに各種研究施設の使用に制限が発生したため、前期は遅れが生じた。しかし、測定系の改良や昨年度導入した熱伝導率測定装置の活躍により、後期は精力的に進めることができた。ただ実験に遅れが生じた結果、学会や論文発表に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素系材料への金属的中間相導入は、微細組織の形成や結晶構造へのドーピング効果などホウ素系熱電材料の性能向上に良い影響を与えることが明らかになった。 今後はそれらの発表を行うと同時に、これまでに得られた知見をもとに新規な高性能ホウ素系熱電材料の開発につなげたい。また得られた知見は熱電材料に限らず、硬質材料等他の用途にも応用が可能であることから、横断的な材料開発につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会が中止ならびに延期となったため次年度使用額が発生した。翌年度は追実験をするとともに、学会や論文等の発表に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)