2018 Fiscal Year Research-status Report
「良い界面」の面積率を高めた異方性ナノコンポジット磁石の創製
Project/Area Number |
18K14034
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細川 明秀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (10748461)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 永久磁石 / 集合組織 / 高圧ねじり加工 / 粒界拡散 / 巨大ひずみ加工 / 保磁力 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノコンポジット磁石(NC磁石)はハード磁性相とソフト磁性相をナノオーダーで複合化させた磁石材料で、次世代磁石材料候補として期待されているが、高特性が得られた例はない。最近の理論計算によれば、ハード相の集合組織制御とソフト相の形状制御を両立し、交換結合が強く働く「良い界面」の面積率を高める事ができれば高特性が実現する可能性が示唆されている。本研究では強加工を活用した手法により、「良い方位」を有する界面を増やす事によってNC磁石を高性能化する事を目指して研究を実施した。 まず、高圧ねじり加工という手法を使って組織制御を試みた。この方法はディスク状の試料を上下のアンビルで挟み込み、圧力を加えながらねじり加工をするというもので、静水圧応力の作用で脆性材料でも冷間加工できるため、加工集合組織の発達による異方性化が期待できる。さらに、ディスクの円周方向に大きなせん断変形をかける事になるので、その方向にソフト相粒子が引き伸ばされる可能性がある。そこで、Feリッチ組成のNd-Fe-B系合金急冷薄帯を鱗片状粉末に粉砕し、ハンドプレスでディスク状に圧密成形したそのままの試料と、通電加圧焼結で焼成した試料の両方を擬静水圧10GPaで高圧ねじり加工を行った。圧密成形しただけの試料でも高圧ねじり加工後には相対密度90%を超えるバルク試料が得られ、通電加圧焼結した試料と遜色ない密度が得られた。また、得られた試料を組織観察したところ、ソフト相粒子は著しく変形しているものの、ハード相の結晶方位はランダムなままだという事がわかった。さらに詳しく観察すると、ハード相内部には塑性変形を担うと考えられている転位が全く存在せず、他の金属で見られる加工集合組織形成機構が働いていないと考えられる。2年目は、低融点合金を粒界拡散させて熱間加工する手法も平行して実施し、ハード相集合組織化とソフト相形状制御の両立に挑む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧ねじり加工だけでなく、高圧せん断加工実験でも同様の成果が得られるのかを試すとともに、ねじり加工速度(=ひずみ速度)を少し変化させる事でハード相の集合組織化が起きないか検討する。これと平行し、低融点合金(例:Nd-Cu合金)をFeリッチNd-Fe-B系原料粉に混合し、焼結・熱間加工する事で異方性化するかどうかも検討を進め、最終的にハード相集合組織とソフト相形状制御を両立できるプロセスを実現する。
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Causes of Carryover |
2019年8月にスウェーデンで行われる国際会議JEMSに参加するための費用と2019年度分の電子顕微鏡使用料を見込み、初年度予算を一部繰り越す事とした
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