2019 Fiscal Year Research-status Report
相分離を起こす新規イオン液体+イオン液体混合物の探索とナノ相分離構造の観測
Project/Area Number |
18K14039
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 拓也 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90639478)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオン液体+イオン液体混合物 / 相分離 / 小角中性子散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
共通アニオンとしてbis(trifluoromethanesulfonyl)amide ([TFSA]-)を有するイオン液体+イオン液体混合物の相分離温度におよぼすカチオンのアルキル鎖長の効果を明らかにした。片方のイオン液体のカチオンをtrihexyltetradecylphosphonium ([P66614]+)に固定し、もう片方のイオン液体のカチオンには、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピリジニウムおよびピロリジニウムを用いた。調製した混合物はいずれも冷却によって相分離を起こした。イオン液体+イオン液体混合物の相分離温度は、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピリジニウムおよびピロリジニウムのアルキル鎖長増加にともない低下した。これは、イミダゾリウム、ピペリジニウム、ピリジニウムおよびピロリジニウムのアルキル鎖長増加にともないこれらのカチオンを有するイオン液体の疎水性が増加し、疎水性の非常に高いもう片方のイオン液体である[P66614][TFSA]と混ざりやすくなるためだと考えられる。また、混合物の上部臨海溶液温度Tcは、アルキル鎖長増加にともない直線的に減少することがわかった。 さらに、イオン液体+イオン液体混合物の相分離温度におよぼす共通アニオンの効果についても検討を行った。イオン液体+イオン液体混合物の調製に用いたイオン液体のカチオンは1-methyl-3-propylimidazolium ([C3mim]+)と[P66614]+に固定した。共通アニオンには、[TFSA]-以外にbromide([Br]-), tetrafluoroborate([BF4]-), trifluoromethanesulfonate([CF3SO3]-)を用いた。実験結果から、イオン液体+イオン液体混合物の相分離温度は、[Br]->>[BF4]->[CF3SO3]->[TFSA]-の順になることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共通アニオンを有するイオン液体+イオン液体混合物の相分離挙動におよぼすカチオンの効果の解明については、当初の計画通りに進んでいる。また、イオン液体+イオン液体混合物の相分離温度におよぼす共通アニオンの効果については、当初の計画以上に結果が得られている。一方、小角中性子散乱の実験については、小角中性子散乱を行うためのビームタイムを全く獲得することができず、まったく進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き相分離を起こすイオン液体+イオン液体混合物の探索を行う。また、小角中性子散乱を行うためのビームタイムを獲得して、小角中性子散乱実験を行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であった試薬やガラス器具等を別の予算で購入したため、若干の次年度使用額が発生した。
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Research Products
(7 results)