2018 Fiscal Year Research-status Report
Fluorescence-based enhancement of sensitivity and visualization of output in molecular recognition gating membranes
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18K14041
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 勇貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10814791)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光 / 感温性ポリマー / 分子認識 / シクロデキストリン / 包接 / 静電反発 / 相転移 / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、標的分子の認識を膜細孔のゲート機能へと信号変換する材料である分子認識ゲート膜に関して、その高感度化と検出の簡便化を膜細孔内のポリマー鎖に導入した蛍光色素によって行う。当蛍光色素は分子近傍の環境が親水性から疎水性にシフトすることで蛍光強度が増加する性質を持ち、膜細孔内に固定化したアクチュエータである感温性ポリマーの膨潤/収縮挙動を追跡可能である。当蛍光色素で修飾した感温性ポリマーを多孔質膜の細孔内部へ固定化することで、温度変化に応答したゲートの開閉を蛍光としてアウトプットする。それにより標的分子の存在を高感度に、また目視で簡便に検出可能であることを実証する。 本年度の研究は、まず溶液中のリニアポリマーにおいて分子認識による感温性ポリマーの応答を蛍光強度の変化に信号変換し検出することを試みた。分子認識としては、シクロデキストリンをホスト、ナフタレン誘導体などの芳香族低分子化合物をゲストとする、シクロデキストリン空洞の包接機能を利用した。まずシクロデキストリンモノマーを用いた先入れ法による、シクロデキストリンおよび蛍光色素ベンゾキサジアゾール(BD)を共重合した感温性ポリマーの合成に成功した。そして合成したポリマーの分子認識挙動の分析により、シクロデキストリンおよびBDを持つ三元系感温性ポリマーが、これまで報告されたシクロデキストリン含有感温性ポリマーで観察されていたLCSTのシフトではなく、LCST以上の温度でのポリマー鎖の凝集度合いの変化を示すことを発見した。以上のように、シクロデキストリンおよびBDを持つ三元系感温性ポリマーが見せる新規な現象を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究室のこれまでの研究で、シクロデキストリンを共重合した感温性ポリマーにおいて自律的な膨潤/収縮現象が観察されており、蛍光強度の自律的発光/消光が実現できれば、高分子の自律膨潤/収縮を視覚的に検知することが可能で非常に有用である。したがって当初予定していたクラウンエーテルおよびビオチンをレセプターとした分子認識の系ではなく、シクロデキストリンと低分子化合物の包接による分子認識の系に蛍光色素(BD)を適用し、シクロデキストリンの分子認識による感温性ポリマーの応答を蛍光強度の変化に信号変換し検出するように方針を変更した。そして当分子認識ポリマーの溶液中リニアポリマーの系での検討により、シクロデキストリンおよびBDを持つ三元系感温性ポリマーにおいて、ゲスト分子の包接によりポリマー鎖の凝集が抑制される現象を発見した。これはBDが感温性ポリマーであるPNIPAM鎖周りの水分子の水和状態に影響を与えたことが要因と推察される。当現象はこれまで報告例がなく、シクロデキストリンのホスト-ゲスト相互作用を用いた分子認識ポリマーの研究に新たな道を開くものであると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により感温性ポリマーに蛍光色素を導入する場合にはポリマー鎖周りの水和状態に与える影響を考慮する必要があるという設計指針が得られた。さらに、シクロデキストリンおよび蛍光色素を持つ三元系感温性ポリマーにおいて、ポリマー鎖の凝集抑制が駆動力となる新規な現象を発見した。ただし、ゲスト分子の有無による蛍光強度の変化は現時点では微小であり、シグナルの増幅が必要不可欠である。そこで平成31年度の研究では、前年度確立したシクロデキストリンおよび蛍光色素(BD)を持つ三元系感温性ポリマーの凝集現象をベースにし、分子認識による感温性ポリマーの相転移挙動の変化を蛍光色素の強度変化で検出するシステムの実証を目指す。前年度の知見を活用し、高分子化学的手法によりポリマーへの蛍光色素の固定率の制御およびポリマー構造の最適化を行うことで、ポリマー鎖周りの水の状態をコントロールし蛍光強度変化の増幅を狙う。分子量、CD側鎖のスペーサー長、BD側鎖のスペーサー長、共重合比などを変えたポリマーの合成を行い、相転移挙動の評価を実施することで、有利な分子構造を持つポリマー一次構造の探索を行う。さらに、この現象をゲート膜に適用することで膜型センサーの開発および分子認識ゲート膜の高感度化とアウトプットの可視化のコンセプト証明を行う。多孔質膜基材に上記ポリマーをグラフト固定することで、分子認識ゲート膜を作製し、ゲスト分子の認識を蛍光としてアウトプットするデバイスの開発を行う。膜細孔内のポリマーの分子量およびグラフト密度の最適化を行い、膜型センサーの高感度化を行う。
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Research Products
(4 results)