2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fluorescence-based enhancement of sensitivity and visualization of output in molecular recognition gating membranes
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18K14041
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 勇貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10814791)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光 / 感温性ポリマー / 分子認識 / シクロデキストリン / DNA / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、まず前年度に発見した新規な相転移挙動を誘起する主要因を解明するために調査を行った。蛍光偏向法を用いて分子間相互作用を分析したところ、シクロデキストリン(CD)とベンゾキサジアゾール(BD)の分子間で相互作用が働いていることが示された。そこで計算化学的手法を用いてCDとBDの錯体の再安定構造を推測した。分子軌道法と密度汎関数法による計算の結果、BD分子がCD内部に包接され、BDのトシル基の酸素原子とCDの2位のOH基が水素結合で相互作用していることが示唆された。以上のことから、ポリマーに共重合されたCDとBDの分子認識により、非共有結合的にポリマーの架橋が形成され、従来とは異なる相転移の現象が発現したと推察された。 続いて、上記のリニアポリマーでの調査研究を分子認識ゲート膜の細孔内グラフトポリマーの系へと展開した。ポリマーに固定するホスト分子として、CDと比較してより多様な標的分子を捕捉可能なDNAに着目し、DNAによる蛍光色素分子の認識を利用した膜細孔ゲートの開閉を試みた。基材細孔内部に感温性ポリマーをグラフトし、ポリマー側鎖に11塩基対の2本鎖DNA分子を固定化した。そして当膜に2本鎖DNAの塩基対間に挿入される性質を持つ蛍光色素である臭化エチジウム(EtBr)を透過させた。その結果、32℃以上の温度でEtBrを添加した場合に膜の水透過性が大きく増加した。この透過性の増加は細孔内のグラフトポリマーの凝集に起因しており、EtBrの挿入でポリマー鎖同士の反発力の低下が生じたためと考えられる。以上のように、蛍光色素をDNAが分子認識することで透過性を変化させる新規な分子認識ゲート膜の開発に成功した。
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Research Products
(4 results)