2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a gating gas separation membrane fabricated by stacked nanosheets
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18K14043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日下 心平 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (80749995)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 多孔性材料 / 薄膜 / ガス分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
分離膜によるガスの高純度化はガスの膜透過率の差を利用してガスを分離する技術であり、その他の分離技術、例えば深冷分離法や吸着分離に比べて低負荷でプロセスを稼働させられることから盛んに研究されている。本研究では、多孔性配位高分子薄膜(PCPナノシート)に着目した。PCPナノシートは多孔性の二次元層状物質であり、これを積層させることで簡便に成膜できるとともに、膜を透過する際にガス分子が確実にPCP細孔を通過するような膜となり、PCPの高い細孔設計性と構造柔軟性を活かした特異的ガス分離挙動が発現できると期待される。 本年度は、予備的に得られていたPCPナノシートの調整法の改良・構造の同定および吸着挙動の調査を実施した。溶媒・温度・濃度・金属塩などのPCPナノシート合成条件を探索し、さらに再凝集法の改良を行うことで、膜状のバルクPCPが得られた。このように得られたバルクPCPを用いてガス吸着測定およびガス雰囲気下粉末X線回折を行うことで、PCPナノシートのゲート吸着特性を明らかにし、またそれに伴うPCP構造変化を追跡した。得られた粉末X線回折パターンから構造を同定することを目的とし、固体理論計算による結晶構造最適化と、結晶相転移の観察を行い、実験系に対して良い一致を示す結果が得られた。さらに、次年度における膜分離試験を行うため、膜保持セルとガス流通装置を接続することで、ガス透過率測定を可能にする装置の組み上げ、その予備試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始段階では、PCPナノシートの合成法および、予備的な吸着特性は得られていたが、その構造の同定や吸着メカニズムの解明は手付かずであった。本年度の研究では、収率や粒度分散の面でより優れた合成法が確立され、詳細な吸着特性が明らかとなったことに加え、吸着下構造解析や理論計算によってゲート型吸着に伴う構造相転移の仕組みを解明することができた。本研究により、成膜および膜評価に向けた残課題を概ね解消できたため、次年度の研究に向けた準備が整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、予定通り、PCPナノシートを用いた成膜と膜分離評価を実施する。PCPナノシート分散液を種々の条件で多孔性基板に塗布し、用意した分離装置を用いて膜欠陥評価を行う。欠陥の無い膜得るため、必要に応じて多孔性ナノシート支持剤を用いて膜の強度増強を行う。得られた膜について、種々のガスを濃度・圧力を変えながらガスの膜透過係数の測定および分離実証を行う。また、特徴的なガス透過条件において、膜のガス雰囲気下分光・X線回折測定を用いたガス分離メカニズムの解明も予定している。
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Research Products
(2 results)