2018 Fiscal Year Research-status Report
構造規定剤のアンサンブルテンプレーティングによるゼオライトの新規構造制御法の創出
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18K14053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊與木 健太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50782174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゼオライト / 晶析 / 効率合成 / 有機ー無機相互作用 / 核生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアンサンブルテンプレーティングを効果的に行うためのメカニズム解明という点において下記の大きな進展があった。2項目に分けて報告する。 ・テトラエチルアンモニウムを用いたCON型ゼオライトの合成 CON型ゼオライトは、メタノールtoオレフィン反応において高いオレフィン選択性と長い触媒寿命を両立可能であることから次世代触媒として期待が持たれている。しかしながらその合成には複雑な有機構造規定剤を必要としている。本研究では、複雑な分子のモレキュラーテンプレーティングではなく、シンプルなテトラエチルアンモニウムのアンサンブルテンプレーティングに着目し、検討を行った。反応物組成、種結晶種の最適化により、収率の向上とともに、反応メカニズムについての知見を得た。実験により得られた結果は、分子動力学計算による予測とよく一致していた。 ・途中撹拌法により誘起されるゼオライトの結晶化 ゼオライトの核生成は非古典的に進行し、結晶化に先立って非晶質物質が沈殿する場合が多い。MOR型ゼオライトの結晶化において、反応途中で一度冷却し、沈殿している非晶質物質をスパチュラにより撹拌、再加熱することによりモルデナイトの結晶化が誘起される現象を見出した。本現象はこれまでに報告がなく、極めて単純かつマクロな操作がゼオライトの結晶化に影響を与えるという点で大変興味深い。得られる生成物の粒径などの情報から、核生成機構について考察を行い、これまでに考えられていたタイミングよりも遥かに早い段階での微小な結晶核の生成という仮説を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
効率的合成という観点からテトラエチルアンモニウムを用いた合成法は期待通りの結果を得、論文投稿の準備が進んでいる。特に、CON型ゼオライトは応用が強く期待されている重要なゼオライトであり、その高効率合成の意義は大きい。 一方、途中撹拌法については当初想定していなかった結果であり、これまでにないゼオライト生成メカニズムの知見を与えるとともに、簡便な合成法の可能性を切り開くものと考えている。 以上のように、当初の計画に沿った順調な結果に加えて、想定以上の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
有効な結果が得られた種結晶添加法は引き続き研究を遂行する。種結晶添加法は、あらかじめ合成した目的とするゼオライト結晶を反応系に添加するという簡便なものであるが、高い活性化障壁があると考えられている核生成をスキップすることで、通常は合成が困難なゼオライトを得られやすくすると考えられる。 途中撹拌法については、投稿論文の準備とともに、他の合成系への展開や他の撹拌手法を検討する。撹拌手法は、現在の撹拌法は定量化が難しいため、超音波などの利用について検討を行う予定でいる。 以上のように現在得られている結果をさらに進めつつ、今後はさらに有機分子間の相互作用をより積極的に利用するための設計を行う。
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Research Products
(5 results)