2018 Fiscal Year Research-status Report
革新的電極触媒の設計指針確立を目指したマクロ孔炭素から構築する三次元構造体の創製
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18K14054
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
滝本 大裕 信州大学, 先鋭領域融合研究群環境・エネルギー材料科学研究所, 助教(特定雇用) (60806529)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロポーラス / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,O2還元反応活性と耐久性が優れる燃料電池用電極触媒の開発であり,第一にナノシートを骨格とする三次元構造体の創製を目指した.具体的には,Niコア@Ptシェルで構成されるナノシート骨格である.本研究では,ナノシートを骨格とする三次元構造体を合成するために,マクロポーラスカーボンを鋳型に活用したアプロ―チを検討する. 本年度は,Ni前駆体をNi金属ナノシートとして直接析出する方法が困難であるため,水酸化物を経由した合成経路を検討した.カーボン鋳型には,細孔径が約300 nmの市販マクロポーラスカーボンを使用した.水熱合成法により,カーボン表面にNi前駆体が存在することを,EDXにより明らかにした.適切な熱処理条件に調整することで,三次元骨格を有するNi水酸化物を合成できることを明らかにした.熱処理条件が高温の場合,Ni水酸化物が凝集し,マクロポーラスが減少することがわかった.以上から,適切な熱処理条件を選択することで,マクロポーラスを維持したままNi水酸化物ナノシートの骨格を形成できることを明らかにした. 上記ナノ材料を電気化学測定で評価し,マクロポーラスが電気化学特性に与える影響を明らかにした.比較サンプルとして,カーボン鋳型を使用せず合成したNi水酸化物粒子も評価した.その結果,三次元骨格Ni水酸化物ナノシートは,粒子より2倍以上大きな比静電容量を示した.また,走査速度依存性も良好であり,マクロポーラスにより物質移動がスムーズであることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画書の本年度分について,クリアしている.また,次年度実施予定の一部を前倒しで実施しており,順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,Ni水酸化物をNi金属へ変換し,その表面にPt原子層を堆積させる.すでにNi金属への合成条件を見出しているが,平滑なNiナノシートを合成するために,還元方法を第一に検討する.具体的には,水素還元時にナノシートがわずかに凝集するため、熱処理温度と還元時間を丁寧に調査する.これにより、金属ナノシートの合成で最重要である形態維持に対する制御因子を明らかにする.水素還元が困難であった場合,化学還元法やヒドラジン還元法を検討する計画である.また,モデル電極を活用しながら条件を決定していく. Pt原子層の堆積は,直接置換析出法を検討する.現在までの予備実験で,市販Ni粒子の表面にPt原子層が析出したことを電子顕微鏡で確認した.また,Ruナノシート表面にPt原子層を形成できた研究代表者の実績があるため, 本研究でもNiナノシート表面にPt原子層が形成すると考えている.平滑なPt原子層を形成するために,Pt前駆体/溶液濃度/温度/反応時間を調整して実験を進める.40度以上の溶液温度ではPt原子層が凝集することが報告されているため,低温(5-30度)で置換析出を検討する.NiとPt2+の置換析出反応は自発的に進行するため,Pt前駆体濃度と反応時間も検討する.これら項目の関係性を整理することで平滑Pt原子層の作製で特に重要な要素を特定でき,平滑な金属原子層の合成法を初めて明らかにする. 三次元構造体のO2還元反応活性と耐久性を評価し,ナノ粒子と三次元構造体における電極触媒性能の関係を明らかにする.ナノシートを骨格とする三次元構造体の物性と電極触媒特性をまとめて考察し,三次元構造の特長を明らかにする.
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