2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-performance multinuclear catalysts for environmentally-benign cross-coupling reactions
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18K14057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前野 禅 北海道大学, 触媒科学研究所, 特任講師 (30721154)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脱水素クロスカップリング / フェノール類 / オルトキノン / リン酸アルミニウム / 分子状酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、分子状酸素を酸化剤とするフェノール類と求核試剤の脱水素クロスカップリング反応の開拓に向けた機能集積型触媒の開発に取り組んでいる。 平成30年度は、リン酸アルミニウム固定化ルテニウム触媒が、水中でのカテコールと活性メチレン化合物との脱水素クロスカップリング反応を高選択的に促進することができることを見出した。本反応は、水のみを副生成物とする環境調和性の高い結合形成の手法である。リン酸アルミニウム固定化ルテニウム触媒は、等モルの基質を用いた条件でも収率99%で目的生成物を与え、極めて高い選択性を示した。反応メカニズム解析から、ルテニウム上での分子状酸素によるカテコールの脱水素酸化によって生成したo-キノン中間体に、リン酸アルミニウム上で活性メチレン化合物が求核付加することで炭素―炭素結合反応が進行することが分かった。高い選択性発現の要因を調べたところ、塩基担体は活性メチレン化合物は活性化できるが、カテコール・キノン中間体の自己カップリングによる重合反応も促進する。一方、リン酸アルミニウムはキノン中間体の副反応を抑制しつつ、活性メチレン化合物を効率的に活性化できるため、高選択的なクロスカップリング反応が達成できたと考えられる。また、アルコールの脱水素反応により生成したアルデヒド・ケトン類を中間体とするアミン類との炭素―窒素結合反応に有効な不均一白金触媒など、様々な脱水素カップリング反応を促進できる触媒系の開発を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、カテコールと活性メチレン化合物の脱水素クロスカップリング反応を極めて高い選択性で促進できる触媒を開発し、リン酸アルミニウムの機能を明らかにすることができた。また、平成31年度に予定しているカテコールと他の活性水素を有する化合物との反応に向けた新規触媒開発につながるデータを得ることができたので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
リン酸アルミニウムで活性化できる活性水素をもつ化合物を探索することで、新たなカテコールとのカップリング反応を探索する。また、リン酸金属塩上でフェノールのオルト位酸素化によるキノン中間体生成反応を促進できる多核金属種を設計し、より高難度のカップリング反応にも取り組む。
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Research Products
(9 results)