2018 Fiscal Year Research-status Report
異種ナノ材料の集積を可能とするナノ界面接合抗体のボトムアップデザイン
Project/Area Number |
18K14059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
二井手 哲平 東北大学, 工学研究科, 助教 (20802705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質 / ナノ材料 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ナノ材料界面を認識するペプチドおよびタンパク質を複数の機能単位を持つヘテロ足場タンパク質へ融合することで、「ナノ界面接合タンパク質」へと拡張し、異種ナノ材料の連結と集積化を行うことを目的としている。そのため、本年度では、まず、金表面を認識する抗金抗体と酸化亜鉛表面を認識する抗酸化亜鉛抗体を、遺伝子工学的に融合させた金-酸化亜鉛接合抗体を作製し、金ナノ粒子と酸化亜鉛ナノ粒子の集積化を試みた。その結果、本ナノ界面接合抗体の存在下でのみ、金ナノ粒子と酸化亜鉛ナノ粒子は自発的に沈殿物を形成した。そして、この沈殿物は金ナノ粒子特有の赤色を示しており、本ナノ界面接合抗体は、金ナノ粒子由来の表面プラズモン特性を保持した複合体膜を調製できることが分かった。さらに、走査型電子顕微鏡により、この複合体膜の断面構造を観察したところ、金ナノ粒子と酸化亜鉛ナノ粒子は、複合体膜中で均一に分散しており、本ナノ界面接合抗体が金ナノ粒子と酸化亜鉛ナノ粒子間を架橋していることを示す結果が得られた。続いて、金ナノ粒子の低い融点と、酸化亜鉛の希酸に溶解する特性を利用し、本研究で調製した金-酸化亜鉛複合体膜から、ナノポーラス金の作製を試みた。その結果、ナノメートルスケールの細孔を持つ、ナノポーラス金薄膜を作製できることが示された。本研究により、新しいナノポーラス金の作製プロセスを提案できた。さらに、本薄膜は、これまで報告されているナノポーラス金同様、触媒活性を持つことが分かった。以上の結果より、本研究のコンセプトである、ナノ材料界面認識バイオ分子による異種ナノ材料の集積化が証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、本年度中にナノ材料接合抗体の作製と異種ナノ材料の集積化に成功し、本研究成果を学術論文として発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ナノ材料を認識できるペプチドの取得と、そのペプチドをより高い親和性が見込めるタンパク質に展開することを中心に研究を進める。これにより、集積化できるナノ材料の種類を増やすことができ、従来作製できなかったナノ構造体を作製できると考えている。さらに、バイオ分子とナノ材料間の原子・分子構造の理解を深めるため、さらに本研究分野の発展のため、生物物理学を専門とする研究者と国際共同研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも、ナノ構造体作製において障害無く研究が進行したため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)