2018 Fiscal Year Research-status Report
複合物理刺激を利用した革新的ヒトiPS細胞培養プロセス創出に関する基盤研究
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18K14063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 正信 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60727014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 物理刺激 / メカノバイオロジー / バイオリアクター / メカノトランスダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内において、細胞は多様な物理刺激を常に受けている。例えば血流によって、血管内皮細胞には剪断応力刺激が負荷される。呼吸によって、肺細胞には伸展刺激が負荷される。細胞はこれら多様な物理刺激を生化学的なシグナルへと変換して細胞内に伝達し、それに対して応答する(メカノトランスダクション)。細胞は物理刺激に応答することで、本来の機能を維持していることが徐々に明らかになってきている。申請者らはこの物理刺激を、再生医療の細胞源として期待されているヒトiPS細胞の培養プロセスに応用すべく、ヒトiPS細胞の増殖と遺伝子発現が培養面の硬さ依存的に変化することを見出した。 さらに、この培養面の硬さの違いによってヒトiPS細胞に対して未分化維持に必要なシグナル伝達を誘導することが明らかとなり、ヒトiPS細胞培養コスト増加の大きな要因の一つであるbFGFを添加することなく培養することが可能であることが明らかとなってきた。 また熱による刺激によって、ヒトiPS細胞の挙動を操作するために、マグネタイトを脂質膜で包埋したマグネチックカチオニックリポソーム(MCL)を作成し、ヒトiPS細胞への取り込み量を定量した。さらに通常は磁場照射によって発熱するマグネタイト が、850 nm程度の近赤外光を用いることで発熱させ得ることを発見し、より簡便に細胞内から熱刺激を付与する系の確率に成功した。 流れによる刺激(剪断応力)を付与するために、流路デバイスを作成し、デバイス内で細胞が培養できうることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初申請において提案していた、ヒトiPS細胞に対して複数の物理刺激を付与し評価するための系の確率を着実に進めている。さらに最終年度において、複数の物理刺激を付与し液性因子を添加することなく分化誘導を達成し、バイオリアクター創出の基盤とすべく、デバイスの作成にも取り掛かり一定の成果をあげつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている培養面の硬さ依存的なヒトiPS細胞の挙動評価を、未分化および分化状態において行い、硬さによってどの程度挙動を操作できるかを明らかにする。また熱、流れによる挙動評価を進めるとともに、水圧や伸展刺激による挙動評価も開始するため、申請において提案していたデバイス設計に基づいて作成を始めていく。
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Research Products
(7 results)