2018 Fiscal Year Annual Research Report
トランジスタ構造を用いた単一カーボンナノチューブのテラヘルツ光応答特性の解明
Project/Area Number |
18K14077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 健治 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50738599)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / テラヘルツ分光 / 単一電子トランジスタ / 量子ドット / 量子物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では一本のCNTを活性層とする単一CNTトランジスタを測定試料とし、THz光照射時にCNT内で誘起される光電流を読出し、そのスペクトル解析をすることで単一レベルでのCNTのTHz分光を行った。特に本研究では異なる長さのCNT素子を作製し、それらのTHz応答特性のCNT長依存性を系統的に調べた。その結果、共鳴ピークエネルギーの下限が,閉じ込め長さをナノギャップ電極間隔とした場合のサブレベル間隔によって制限されていることがわかる。このことから、単一CNTのTHz共鳴ピークはCNTのサブレベル準位間に対応するエネルギーに対応する位置に出現し、そのエネルギーはCNT長に強く依存することを見出した。さらに位相緩和時間は、CNT内の電子の外部電極へのトンネル時間によって支配され、CNT内での不純物散乱やフォノン散乱による散乱時間は10 ps以上であることがわかった。 また、単一CNT素子作製にあたり、従来品より高出力な超音波分散装置を用いた溶液分散法の条件最適化を行い、本手法の最適条件は1時間の超音波分散処理直後に基板上に溶液塗布することであることを見出した。実際に、本手法を用いてCNT素子の作製を行った結果、極めて清純なCNT素子のみでしか観測されない4重縮退を反映した伝導特性の観測に成功した。さらに、2層CNTに対して本手法を適用することでチャネル長150 nmの2層CNT素子の作製を行った。その結果、単一電子伝導領域内に等間隔(0.9 meV間隔)に複数本の伝導度ピークラインの観測に成功した。150nm長の単層CNTの伸縮振動モードはおよそ0.7 meVであり、実験値と良い一致を示す。このことから、この伝導度ピークラインは2層CNTの内殻もしくは外殻のCNTの伸縮振動モードが起源である可能性が示唆される。
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