2019 Fiscal Year Annual Research Report
Template synthesis of one-dimensional transition metal chalcogenides inside nanotubes
Project/Area Number |
18K14088
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中西 勇介 首都大学東京, 理学研究科, 助教 (50804324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノワイヤー / カーボンナノチューブ / 遷移金属カルコゲナイド / 原子分解能電子顕微鏡 / 鋳型合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では遷移金属カルコゲナイドの新奇一次元物質(ナノワイヤー)の創製を目指した。このナノワイヤーは針状物質の単針であり,理論研究は40年近く前から進んでいたが,合成が困難で実験研究が進んでいなかった。研究代表者らは,直径数ナノメートル程度の『ナノ試験管』であるカーボンナノチューブを鋳型に用い,その精密合成・構造解析・物性評価に取り組んだ。主な研究成果は以下に示す。 ① 実験・理論計算によって反応機構を解明した。このナノワイヤーの形成は鋳型となるカーボンナノチューブの直径に強く依存し,1.5ナノメートル前後の直径で最も収率よく得られる。さらに遷移金属酸化物が反応中間体であることを突き止めた。さらにその知見に基づき,酸化物を出発物質として用いることで種々の組成をもつナノワイヤーの高収率合成法を確立した。 ② 原子分解能透過電子顕微鏡によってナノワイヤーの構造を原子レベルで解明した。さらに他のナノワイヤーにはない周期的な「ねじれ」をもつことを世界に先駆けて明らかにした。 ③ 光吸収分光によって本ナノワイヤーが可視光領域に顕著な吸収を持つことが判明した。またラマン分光と理論計算を組み合わせることで,ナノワイヤーの分子振動を解明した。さらにX線光電子分光により,組成によっては鋳型であるカーボンナノチューブと強く相互作用し,カーボンナノチューブの表面にホールドープが起きていることが明らかになった。
特に,主たる研究成果である第一報は米国化学会誌『Nano Letters』に発表され,2019年8月号の表紙を飾った。
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Research Products
(19 results)