2019 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of durability and efficiency of organic laser devices using cross-linked carbon / inorganic hybrid electron-injection layers
Project/Area Number |
18K14090
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲田 雄飛 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (90770941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機 / レーザー / カーボン / ハイブリッド / 電流注入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、架橋カーボン/無機ハイブリッド材料を鍵とした新たな電子注入層の設計により、有機半導体結晶を発光層に用いた電流注入型レーザートランジスタの電極耐久性および電子注入効率の同時改善を目指す。 昨年度は、カーボン材料としてフラーレンを用い、複数の架橋手法と条件を検討した。窒素雰囲気下でパルスレーザー光(波長532 nm)を照射した試料において、フラーレン分子間での架橋を示唆する結果を得た。酸化膜付きシリコン基板に有機半導体オリゴマー単結晶を置き、その上にソース電極・ドレイン電極として一対の銀電極をつけて電界効果型トランジスタデバイスを作製した。単結晶と銀電極の間に、架橋したフラーレン(またはフラーレン)薄膜を電流注入層として挿入した。電流-電圧特性として、基板のシリコン部分(ゲート電極)に電圧を印加することでチャネルに電荷キャリアを蓄積させ、銀電極間に電圧を印加した際にチャネルを流れる電流を測定した。電流注入層なしの場合では、ゲート電圧を120 Vまで増大させたところで電子注入側の銀電極が破壊された。一方、電流注入層ありの場合では、ゲート電圧を160 Vまで増大させても銀電極は破壊されず、電極耐久性の向上がみられた。しかし、いずれの場合においても正孔の輸送のみが観測された。電子の輸送は観測されなかったため、電子注入効率の評価が困難であった。 最終年度は電子輸送の観測に焦点を当てた。電子の輸送を阻害するトラップを排除するため、有機半導体薄膜とゲート絶縁膜の間にテトラテトラコンタン薄膜を挿入した。ソース・ドレイン電極に銀を用いた場合では、正孔のみの輸送が観測された。電子注入効率を上げるため、ソース・ドレイン電極にカルシウムを用いたが、電子の輸送は観測されなかった。有機半導体中の不純物によって電子がトラップされた可能性を検証することが今後の課題である。
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