2019 Fiscal Year Research-status Report
MCBJ法を用いた単分子接合の構造変化の定量評価法の構築
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18K14091
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小本 祐貴 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90814210)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 単分子計測 / MCBJ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
単分子接合は、単一分子を素子とする分子デバイス実現のために盛んに研究されている。これまでに単分子接合の架橋構造など決定できるようになってきたが、単分子接合形成のダイナミクスと単分子接合の接合構造がどのように変化するかということは未だ明らかになっていない。 本研究の目的は、従来の単分子計測手法では明らかにできていない分子接合の接合構造の変化を、単一の単分子電流シグナルから評価する手法を確立することである。本年度の研究実施計画は、単分子計測システムを用いて、単分子の識別手法を確立することである。 初年度に、電流計測システムを導入し、単分子計測を行うことが可能になった。導入した単分子計測システムを用いて、神経伝達物質をテスト系として測定した。本年度は、機械学習を用いた分子識別手法を発展させ、神経伝達物質から得られた単分子シグナルを、混合物や夾雑物を含む環境下であっても、単一シグナルレベルで識別する手法を確立した。さらに、DNA修飾塩基の識別も同様に行い、本手法が様々な分子に適用可能であることを実証した。本研究では、単分子接合の接合構造変化を捉えるために、変化する前後の接合構造を同定するための手段が不可欠である。本年度の研究により、本手法の堅牢性を実証でき、単分子接合の接合状態を精度よく識別できる手法を開発したことは重要な成果である。夾雑物中の神経伝達物質の識別、修飾塩基の識別に関して招待講演2件を含む国際学会3件、国内学会2件にて発表を行い、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、当初の予定通り、導入した単分子計測を計測し、識別を行うことが可能になった。導入した単分子計測システムを用いて、神経伝達物質やDNA修飾塩基をテスト系として測定し、導入した単分子計測システムにより計測が行えるようになったことを確認し、単分子レベルで識別することができた。単分子の識別は、様々な分子に対して適用可能であり、また、不純物や混合物中でも用いることができた。本年度の研究により、開発した識別手法が、様々な環境で用いることができると実証された。 本研究では、単分子接合の接合構造変化を電流変化から検出し、接合構造の変化を定量的に評価することを目的にしている。そのため、接合構造を同定を、電極距離が変化する中で決定するための手段が重要である。幅広い状況で単分子接合の接合状態を識別する手法を開発したことは重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、導入した単分子計測システムを用いて単分子計測を続けていく。測定対象の分子は、当初の計画通り、複数の架橋構造を有する分子及び、複数の架橋構造が知られているベンゼンジチオールを測定する。 今後、測定した単分子シグナルから接合構造がどのように変化するかを調べる手法を開発する。そのために、これまでに行ってきた機械学習を用いた解析による識別により、単一パルスの識別を伝導度が変化していくナノギャップ電極破断過程に適用し、接合構造がどのように変化したかを単一シグナルで検出する手法を開発する。機械学習を用いて構造変化を含むシグナルの抽出した後、シグナルの前半部分と後半部分をそれぞれ別に解析し、これまでに行ってきた単一パルスの識別法を適用して構造変化前後の接合構造の同定を行う。この新しい解析手法を用いて単分子接合の構造変化を定量的に評価する。 接合構造の変化による電流変化が小さく、現在までに行った手法での識別精度が低い場合、電流-電圧特性計測を行うことにより、識別に用いることができるパラメータを増やし、精度の高い識別を実現する。
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Research Products
(6 results)