2018 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッドナノ構造の制御による異方形態金ナノ触媒の高活性化
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18K14095
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊村 芳郎 東京理科大学, 工学部工業化学科, 助教 (70756288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 形態制御 / 触媒 / 貴金属 / ナノ結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
金ナノ結晶の触媒特性は、サイズや形態により大きく異なることが知られている。そのため、ナノ金平糖のような異方形態ナノ結晶を触媒材料へ応用する研究は、大きな注目を集めている。金ナノ結晶は、担持する担体の種類に応じてアルコール酸化反応に対する触媒活性能が変化するため、担体の最適化が必要となる。これまでに、球状金ナノ粒子に関しては、様々な担体を用いた担持ナノ触媒の調製と触媒応用に関する研究が報告されてきたが、異方形態ナノ結晶に関してはほとんどない。そこで、本研究では異方形態ナノ結晶の触媒活性に対する担体の影響について検討を行った。 これまでに我々は、金ナノ金平糖(平均サイズ75 nm)の調製とアルコール酸化反応触媒への応用に成功している。そして、金ナノ金平糖が同じサイズの球状金ナノ粒子よりも高活性であることも明らかにした。そこで、本研究では、異方形態ナノ結晶として金ナノ金平糖を用いることにした。本年度は、担体としてアルミナと酸化鉄を用いて担持金ナノ金平糖触媒を調製した。調製した金ナノ金平糖の平均サイズは、担持後も変化が見られなかった。この担持ナノ金平糖を1-フェニルエチルアルコールの酸化反応触媒に利用したところ、アルミナよりも酸化鉄の方が高い触媒活性を示すことがわかった。さらに、XPS測定より、触媒活性能の向上は金原子の電子状態変化に起因していることが示された。これらの結果から、金ナノ金平糖触媒の担体を変化させることは、触媒活性能の向上に有効であることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、金ナノ金平糖の触媒活性能を向上させるためアルミナと酸化鉄に担持した2種類の担持触媒を調製した。その結果、酸化鉄に担持した金ナノ金平糖触媒は、アルミナ担持触媒よりも1-フェニルエチルアルコールの酸化反応に対して高い触媒活性能を示すことがわかった。さらに、この触媒活性能の向上は、金原子の電子状態変化に由来していることも明らかにすることができた。以上のことから、本研究は順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2種類の金属からなる異方形態合金ナノ結晶は、1種類の金属からなる異方形態ナノ結晶とは異なる触媒特性を示すことが知られている。そこで、担体の最適化による触媒活性能の向上に関する研究を、異方形態合金ナノ結晶へと応用展開する。これまでの研究で、金ナノ金平糖と同じサイズの金-銀ナノ金平糖の調製に成功している。さらに、金-銀ナノ金平糖は、金ナノ金平糖よりも1-フェニルエチルアルコールの酸化反応に対して高い触媒活性能を示すことも明らかにしている。そこで、この金-銀ナノ金平糖の担体を変化し、触媒活性能の向上に取り組む。ここで、担体としては初年度に用いたアルミナと酸化鉄に関して検討を行う。また、金ナノ金平糖触媒に関する研究も引き続き行い、酸化チタンなどを担体として用いて更なる触媒活性能の向上を達成する。
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Causes of Carryover |
ナノ金平糖触媒の調製ルートを複数検討する中で、当初予定していなかった調製ルートにおいて良好な結果が得られた。そのため、次年度以降に必要な検討項目が当初予定よりも増えたため、研究配分を見直し、次年度以降の使用額を確保した。主に、ナノ結晶の調製にかかわる試薬などの物品費に用いる予定である。
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Research Products
(9 results)