2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K14101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯崎 瑛宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (10732555)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ流路 / Flow cytometry / Droplet microfluidics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ナノリットルサイズの液滴を1秒間に数千個分取できるデバイスを実現し、創薬などに有用な希少細胞を見つけ出すこと目的としている。平成31年度においては、これまで開発してきた液滴デバイスのデバイスパフォーマンスを、シミュレーションを用いてより詳細に調べ、デザインの最適化を行った。このことにより、液滴分取動作の安定性が向上した。さらに、本デバイスを用いた応用展開にも挑戦した。下記で詳細に説明する。 これまでは電極形状設計や流路設計を直観に任せて行っていた。平成31年度は、シミュレーションを用いて定量的評価のもとに設計を行った。このことにより、デバイス設計指針が明らかになるとともに、安定した実験を行うことができるようになった。 また、成長の遅い細胞を単離するという応用展開にも挑戦した。これは液滴を用いたマイクロ流路ならではの特徴を生かした応用展開である。具体的には、成長の遅い酵母株と成長の速い酵母株を1:49で混ぜ、単一細胞を液滴に封入した。その後、12時間液滴内で培養し、成長の遅い細胞を分取した。その結果、93%の精度で成長の遅い株を単離することに成功した。 本研究をさらに発展させるために、分取された液滴を高効率に補足するデバイスの開発も進めた。具体的には、分取領域の下流に配置した流路に余分な流体を除去する機構を設置し、液滴のみが集まるチャンバーを設置した。シミュレーションを丁寧に行うことでマイクロ流路の設計を行い、その結果、80%以上の精度で分取した液滴を補足することに成功した。 以上のように、デバイス性能の安定性および応用展開へと研究の段階を進められた進捗の多い一年となった。本結果に関連し、化学とマイクロ・ナノシステム学会で4件の発表を行った。そのうち一件は優秀研究賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
31年度はデバイス性能の詳細な解析や安定性向上に成功した。さらに、それを用いた応用展開へと研究を進めることができた。応用先は動物細胞、藻類、微生物、など多様なものを行い、本デバイスを用いることで飛躍的に研究を進められる対象を模索し、実験を進めている。31年度内で応用展開の一定の結果が得られたことは、当初計画していた通りである。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度は応用展開へと研究の段階を進めることができた。しかしながら、「未知の細胞を分取する」という目標にはまだ至っていない。令和2年度は、この目標に挑戦したい。そのために必要になるデバイス改善にも取り組む。これらを通して、開発したデバイスの有用性の実証に挑戦する。
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Causes of Carryover |
シミュレーションを活用することにより、デバイス作製の試行錯誤回数を減らすことができた。そのため、消耗品の使用頻度が予定を下回った。
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Research Products
(4 results)